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『犬のいる生活』






アマゾンkindleストアにて配信はじまりました。


『犬のいる生活』


★ ★ ★

「ただいま」
「ああ」
 ああってなんだよ?といつも思うのだ。ひとが帰ってきたってのに、ああそう、って感じなのだ、こいつはいつも。
 こいつ、とは、相方の貞治郎だ。今時、貞治郎って名前もおかしいが、おれより二つ下の三十二。ガタイがでかくて鍛えているから、見栄えはいいんだが、とにかくもう一年もこうして一緒に暮らしているから、今はもう惰性で続いているだけの関係なのだ。同棲まで一年付き合ってたせいもある。それでもこいつと出会った時だって、きっと幸せになれると考えていたのだ。それがたった二年でこのダレた雰囲気。この部屋で待ってるのがさっきのジャンパー男だったら、きっと笑顔でおれを出迎えてくれたはずだ。ニコニコ笑って一日働いてきたおれをねぎらったはず。なのに貞治郎は振り向きもせず、寝ころんでテレビを見ている。おれの上着を受け取ろうともしない。
 運命の相手とは絶対にこうはならないはずだよなあ。
 おれはぶつぶつ言いながらスーツを脱ぎ、家着のスウェットに着替えた。その間、なんとなく貞治郎のつけてるテレビに目をやっていた。テレビでは外国のドキュメンタリーが流れていた。男同士のカップルの話らしい。金髪の美少年系とアラブ系のオヤジが、いちゃいちゃしながら犬の頭を撫でている。
『やっぱり犬を飼いだしてからは会話も増えたし、一緒に行動することも多くなりましたね』
『子供のかわりってことかなあ』
 バカ言ってんじゃねえよ、おれはそう思いながら台所に入ってビールを飲み出した。


 その翌日、マンションに帰ると犬がいた。
 おれは唖然として、貞治郎の膝にのっている細っこくてちっこい犬を見下ろした。犬はおれを見て、小走りで駆け寄ってきた。不思議そうに首をかしげて見上げてる。
 もちろんすぐに、夕べのドキュメンタリーを思いだした。
「これって……、単純過ぎねえか?」
「前から考えてたんだよ、ずっと」
 たしかに貞治郎の奴は、付き合いだした頃は犬が飼いたいとかそんなことはよく言っていた。だがそれは口癖みたいなもんで、おれも聞いていなかったのだ。
「吉正が興味なさそうだったから今までは我慢してたんだ。でも、もう我慢するの、やめたから」
「はあ?」
「とにかく、もううちの犬なんだから、よろしく」
「なんだよそれ? うちの、じゃなくて、お前の犬だろが」
 それにしても、どうしてこんなに細っこくてちっこい犬なんだ? チワワの足が伸びたような犬。というより、形は馬だ。ミニチュアホース? おれがスーツを脱いでくつろぐと、犬は興味深そうにまわりをうろうろした。まだ警戒している様子だ。
「おい、トウカイテイオー」
 おれがそう呼ぶと、犬はまた首をかしげた。

★ ★ ★



 同棲している恋人がいながら浮気ばかりしている主人公。
 どこかにもっといい相手がいるはず、運命の男が……、と自分勝手な考えだったが、恋人が犬を飼いだして、冷め切っていた二人の関係が少しずつ変わっていく。

 ゲイ官能小説。ホノボノとした読み切り。

 初出『ジーメン』。








予告。

今週から書き下ろしでシリーズもの的なのを配信していく予定です。
住宅街の中にある普通の公園が舞台。
続き物ではなく、毎回一話完結なんだけど、
つながってる部分もちょっとだけある、みたいな感じ。

最初のは『若パパvs.若パパ』というタイトルにするつもりです。

タイトルどおりに若パパ二人のお話。
明るくてエロスな内容。










団地用にクッションカバーを縫いました。
アウトレットで買ってきた布だからよく見るとほつれというか
完璧でない布だけど、どうせ犬が引っ掻けば一緒。

中に入っているのはヌードクッションではなく、
コストコで買った枕。
でかい枕二つで二千円とかそういうやつ。
彼氏はいろいろ枕を試したがるんですよね。
僕はこの十年、ずっと竹枕だけど……。

で、枕としてはイマイチだったらしく、
ここしばらくクッションとして使われていた。
でも白い枕のままだと茶色い革のソファとあわなかったので作製。

耳をつけると売り物っぽくなりますね。


ちなみにソファに敷いてあるモコモコしたやつ、
台所用のマットです。
これ、裏がゴムですべらないからすごく便利。
革のソファって冷たいから冬は毛布を敷いて、
座るたびにずれて落っこちて、敷き直して、
の繰り返しだったけど、
台所用のマットで解決した。
ソリューション。



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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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