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『護衛官』







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『護衛官』

   ★ ★ ★

 おっちゃんは腕を組んでうなずいた。そうすると、スウェットごしにでも腕の太さとパンと張った立派な腹がくっきりとわかる。太股の太さは一目瞭然だ。
「今日は仕事、休みなんだ?」
「ん、護衛官だからな」
「あの……、政治家の人が休みってこと?」
「そうだ、呼び出しあるかもしんねえけど。あんちゃんも休みか」
「うん」
「パン食うか?」
「え」
「アンパン。半分こにしてやる、ほれ」
 おっちゃんは脇に置いてあった紙袋からアンパンを取り出し、半分に割った。大きい方と小さい方を見比べて、少し迷った様子で、結局、大きい方をオレによこした。オレは笑って受け取って、食べた。アンパンなんて食べたのは何年ぶりだろう。甘い。
「オレ、甘いものって普段は食べないんだ」
「えっ、そうか、だったら小せえ方やればよかったな」
 おっちゃんはちょっと悔しそうな顔で、オレの手元に残っていたアンパンのかけらを見た。オレは声出して笑ってしまった。
「あんちゃんはよく笑う奴だな」
 おっちゃんはうれしそうに笑った。オレはおっちゃんの耳元で言ってやった。
「おっちゃんと一緒にいると楽しいんだ」
「そうか?」
 おっちゃんはニヤニヤと笑った。オレが言った。
「あ、おっちゃんって呼んで、よかったかな?」
「ああ、いいぞ。あんちゃんにおっちゃんなら、ゴロがいいじゃねえか。うち、くるか?」
「え、ああ、うん」
「時間あるんだろ、可愛がってやる。へへ、顔赤くなったな、照れてんのか?」
 おっちゃんは本当にいやらしく、ニヤニヤ笑ってオレの膝をたたいた。オレは柄にもなく、本当に顔を熱くした。

   ★ ★ ★





 大学卒業後もフリーター生活を続けている根無し草のような青年と、政治家の護衛官だという「おっちゃん」。出会った場所は場末のポルノ映画館で、二人の関係にはなんの約束事もない。お互いのことはなにも知らないまま、それでも二人は惹かれあい……。


 ハートウォーミングなゲイ官能小説。

 初出『ジーメン』。









先週の『男の運転法』もそうですが、
この『護衛官』もかなり昔に書いたものです。
二十年は経ってないだろうけど、十五年は経ってると思う。
あ、もっとだ、今付き合っている彼氏と付き合い出す前に書いたもののはず。

というのは、とあるハッテン映画館で、
実際に「おれ、護衛官なんだ」と名乗るおじさんといたしたことがあり、
その経験を元に書いたお話なので。
もちろん、ほとんどの部分は創作だけど。

モデルになったあのおじさん、元気だろうか……。
というか、ほんとに護衛官だったのか、謎。
でも、バッチはつけていたような記憶もある。
護衛官という職種の方がバッチつけてるものなのかどうかも知らないけど……。

ちなみに作中にあるように、住所を書いた紙を渡されたのは事実。
病院の領収書とか、そんな紙切れの裏に。
だからほんとに名前が書いてあったんだよね。
作品にあるままのおじさんだった。
ちょっと背が低くて、ごっつくて、男っぽい、どこか調子外れな、かわいいおじさん。

ただし、僕はおじさんの家を訪ねたりはしなかったけど。

あの時、本当に訪ねていったらどうなっていたのか。











またバック制作。







今度は母用。
おばさんぽくできて満足。
上品なおばさんがこういうの持ってるイメージ。








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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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