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『ろくでなし』








アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。



『ろくでなし①』




   ★ ★ ★

 おれは外国小説の続き物を読んでいた。一巻、二巻と読み進めて、五巻まできたところで、本の半分が破れてしまっていることに気がついた。係をしてる受刑者に本を見せると、
「その続きなら前に入ってた奴が破いちまったんだ。だからあきらめろ」
「新しく入れる予定もないのかよ?」
「あるわけねえだろ。ここをどこだと思ってんだお前?」
 おれは途方に暮れてしまった。五巻は主人公がまさに波瀾万丈の人生の波に飲み込まれ、この後どうなるんだ?と思わせるすごい展開だったのだ。気になる。出所するまで読めないのか、とがっかりしている時、ちょうどその日、図書館の見回りになっていた刑務官の森さんが声かけてきた。
「その続き、読みたいのか?」
「はい。気になるし、この本の感想文を書くっていう懸賞に応募してみたくて」
「そうか、まあ、俺が上の方に言えば、なんとかなるかもしれないぞ」
「ほんとスか?」
「そのかわり、頼みたいことがあるんだよ。前々から考えてたことなんだが……」
 森さんは図書館の本棚の一番奥にまでおれを引っ張っていった。みなすでにその日読む本を見つけて机に座っていたから、まわりには誰もいなかった。それを確かめてから、森さんは制服のズボン前を自分で無造作に揉み始めたのだ。
「お前、かわいいよな? かっこいいってわけでもないが、どこか愛嬌があるんだよ」
「あの……」
 おれはドギマギしていた。口の中がからからに乾いてきた。見ちゃいけないと思っているのに、森さんのズボン前が左に寄って盛り上がってくるとこから目が離せない。森さんは根本をつかんでいるようだった。だから亀頭のくびれが布地に透けてふくらんで見えた。
「お前、男、嫌いじゃないんだろ? 見てるとわかるぜ」
「そ、そんなこと、なんで、」
「同じ房の連中とやってねえのか?」
「やるって、なにを……」
「しごきっこだとか、誰か弱い奴に順番にしゃぶらせてんだとか」
「おれはそんなこと、」
「しゃぶらされる側か、もしかして? いつも房の連中のしゃぶってやってんのか?」
 森さんは興奮した様子で、一物いじくりながら低い声でうなっていた。刑務官をしているような人が、まさかこんな場所でおれみたいな奴相手にこんな風になるなんて、信じられなかった。
「おれは一度だってそんなことしてないスよ」
「だったら、最初の男がこの俺ってわけだな?」

   ★ ★ ★





 ろくでなしの不良少年が塀の中で大人になり、やがて外の世界で成功をつかむ長編小説。
 

 ゲイ官能小説。

 初出『ジーメン』。

 全三話の内の第一話。







これ書いてから十年くらい経ってるのか、
そこまで経ってないのかよくわからないんですが、
これを書くちょっと前に、
ジェフリー・アーチャーの小説を読んだんですよ。

それまで名前は聞いたことあっても読んだことなくて、
読んだらおもしろくて、
あー、こういうのゲイ官能小説でもやればいいんだな、
と思いついて書いたのがこの『ろくでなし』。

いわゆる一代記ものです。

ひとつの物語の中で時間がけっこう経っていって、
主人公はかなり激動な人生を歩むというパターン。



もちろんジェフリー・アーチャー大先生には
遠く及ばないわけですが、
この後もいくつか一代記もの書いたので、
ちょっとずつ配信していく予定です。









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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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