Entries

『弁護士隈吉源三⑩ 理由 中編(全三回)』








アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。


『弁護士隈吉源三⑩ 理由 中編(全三回)』




   ★ ★ ★

「こいつは利益の相反になる。刑事と容疑者の弁護士なんだ。……今夜は東京に帰るよ」
「なに言ってんだ、もう真夜中だぜ? それにオレが追ってるホンボシは五島だ。所長さんじゃねえよ」
「しかし現に所長は留置されたままだ」
「行きがかり上、そうなってるだけだ。だいたいあんたの運転じゃ戻るのに三時間かかるんだぜ。帰ってくるのにまた三時間。ただ行って帰ってくるだけになるぞ」
「じゃあ、車で寝る」
「意地張るなって。寝不足でけが人の治療だとか所長さんの弁護できんのか?」
 結局、警部に説得されてログハウスに泊まることになった。家の中に入ると腹がグーグーと鳴り出した。そういえば夕飯食ってなかった……。
「冷凍食品しかねえぞ」
「たすかる、吉田さん」
 二人テーブルに向かい合って無言のまま食べた。あっという間にたいらげて、ゴミを片付けようと立ち上がると、警部に抱き寄せられた。俺は反射的にその太い腕をほどいて後ずさった。
「なんだよ先生、仕事は仕事、プライベートはプライベートだ。別の話だろ」
「俺はそんな簡単に割り切れない」
「まだ怒ってんのか」
「当たり前だろ、いくら犯人を挙げるためだからって、所長を容疑者扱いするなんて」
「じゃあ先生は絶対にありえないって断言できるのか?」
 急に警部の口調がきつくなった。
「なんの話だ?」
「だから、あの森永って男を襲った犯人が絶対に大塚所長じゃないって言い切れるのか」
「言い切れるさ、当然だ」
「しかし状況を見てみろよ。通報を受けて警官が駆けつけたら、その場には怪我をして横たわってる被害者と所長がいたんだぜ? そりゃ、一番怪しいのは五島だけどよ、所長が犯人である可能性をはじめから否定していいのかよ?」
 そう言われてしまうと悩ましかった。所長が人を襲うなど考えられない。だが、警察の立場からすれば……。
「とにかく、今夜はそういうのやめてくれ」
「先生、せっかく二人きりなんだぜ? 何日も続けて休みがあうなんて、月に一度あるかないかのチャンスなんだぜ?」
「それとこれとは別だろ」
「なんなんだよ、この石頭が!」
 警部のログハウスにはベッドが一台しかなかった。だから警部が風呂を浴びている間に、俺は部屋の電気を消してソファで丸くなった。いつもは横になれば数秒で寝ちまう俺なのに、底知れぬ不安を覚えて目が冴えていた。やがて風呂場の戸を開け閉めする音が聞こえてきた。背後から石けんの匂いのする湯気が漂ってくる。俺は目を閉じて眠ったふりをした。
「先生は風呂いいのか?」
 警部に聞かれても黙っていた。すると頭の上に一瞬、熱い感覚が降りてきた。警部がつむじの辺りにキスしてきたのだ。俺はいびきのふりでやり過ごした。警部が寝室に歩いていく足音が聞こえた。俺はふりを続けながら息を吐いた。
 寝室から警部が呼びかけてきた。
「先生、あんたのいびきはそんなかわいいもんじゃないぜ」
 俺はドキッとしたが、眠ったふりを続けた。そのうちに本当に寝入ってしまった。

   ★ ★ ★




 恋人である吉田警部の手作りログハウスでのんびりと休日を過ごしていた隈吉。普段は平和で犯罪とは無縁のその小さな村で刺傷事件が起こる。
 事件の容疑者として警察に拘留されたのは、ゲイを狙った放火犯として別事件で疑われている青年、そして青年を弁護している大塚所長だった……。
 
 大塚所長は隈吉が初めて勤めた大塚弁護士事務所の所長であり、隈吉は恩義を感じてその弁護を引き受ける。しかし事件について所長はなにも語ろうとしない。自分が疑われるのもかまわず放火犯の青年をかばう。その理由が隈吉にはわからない。


 ゲイ雑誌『サムソン』で連載されていた弁護士隈吉源三シリーズ最新作。
 この第十弾からは完全書き下ろしでアマゾンのみで配信。全三話の中編になります。

 ゲイ官能小説。










先週の続きですが、
千数百枚に及ぶ隈吉シリーズの原稿、
今回、全部読み直しました。

どの段階でどんなことがあったのか確認。

ほんとはこういう時、設定集とか作ってあればいいんでしょうけど、
そういうの苦手なんですよ。
作れない……。



つい最近の話なんですけど、
いまさらですが、自分ってかなり不器用な人なのかな?
と気づきました。

というか、四十五になってそういうことに気づく、
ということが、ほんとに不器用ってことなのかも?
と気づいて、ちょっとだけショックを受けました。




ツイッターでまわってきた、
質問にこたえていくとなにかしら診断が下る
ってやつをやったんですよ。

そういうのって質問の数が多いから、
やりはじめてもたいていは途中でやめちゃうんですが、
めずらしく最後までやったのがあって。

そしたら、ちょっと問題ありがち、という結果が出たんですね。

後から思い返したら、
割と「普通」に寄せた答えを選んでしまっていた部分もあって、
もしそこも素でこたえていたら、
もっとはっきりあらわれてしまっていたのかもしれない……。




今まで自分にそういう問題があるって考えたことなかったんですね。
どちらかというとなんでも器用にこなせる方じゃないのかな~、
なんて、のんきにかまえていた。

しかしあらためて考えてみると、
人と付き合うの下手だし、
どこでも浮きがちというか、浮くからすぐに逃げ出してしまう傾向が強い。


そこで思い出したのが、
おかしな人って自分がおかしいということに気づかない、
というような言葉。


四十五になるまで、自分にそういう問題があるかも?
という想像もしてこなかった自分だから、
……え?
と軽いショックを。

こわい……。







なんて書いてきましたが、
べつに心配とかしてないんですけどね。

もし本当に問題があるとしても、
だからなんだって話だし。

いまさらどうしようもないし、
関係ないかって。






スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR