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『犬極道Ⅱ 憎みきれないろくでなし』Kindle版








アマゾンKindleストアにて配信はじまっています。


『犬極道Ⅱ 憎みきれないろくでなし』



   ★ ★ ★

 きれいにワックスがけされた床の上に、ゆっくりと埃が舞っている。薄暗い照明のせいで、埃がスローモーションのように落ちては舞い上がり、チリチリと光を反射させている様がよく見えている。
 俺は床に這いつくばってすぐ目の前の床をにらんでいた。獣のように呻いていた。
 ヌメヌメと濡れた舌が肛門を舐めていた。
「うっ、ううっ、あっ、お……」
 まわり中に人の足がいくつも見えていた。スラックスに革靴が多いが、ストッキングにハイヒールという女の細い足も混ざっている。音楽が鳴っているが、それ以上に、人々の話し声に囲まれていた。広い会場のあちこちから悲鳴のような声も聞こえている。
 普段は披露宴や祝賀会が開かれるホテルの宴会場だった。頭上には華やかなシャンデリアが吊されているが、今夜、そこに光は灯っていない。ダウンライトと蝋燭の光がぼんやりと会場の中を照らすだけだ。きっと今日の昼は、この同じ場所に、新郎新婦と親族たちが醸す幸せな空気が満ちていた。しかし今夜、そこに漂うのは、煙草や酒や食べ物や、薬物や香水、そして人間の汗と体臭だ。
 男の舌が俺の肛門の中にズルリと入り込んだ。
「ひいっ、ああっ!」
 俺はブルブルと体を震わせながら辺りを見回した。様々な年代の男たち、女たちが俺の痴態を見下ろしている。舐めるような目つきで見つめるのもいれば、立食でニンニクのきついつまみを頬張り、酒をすすりながら、退屈そうに眺めてくるのもいる。
 すぐそこに野田が立っていた。四つん這いで、あちこち服の破かれた俺をにらんでいる。その目には軽蔑と怒りと憎悪が火のように灯っている。
 なにもかも組のためだ。
 俺は何度となく自分に言い聞かせた。俺がこんな痴態を晒しているのも、内藤ではなく野田を選んだのも、すべては組のためを思ってのことだ。俺は親父に拾われたその日から、組のためにすべてを捧げると誓っていた。
「すげえな、中の肉が見えてるぞ?」
「あううっ!」
 誰か見知らぬ男の指が肛門を出入りした。一人が試すと、つられたように、他の男たち、女たちも指を入れてくる。肛門を探った指を、当たり前のように俺の口にしゃぶらせて清めさせる。
 なのに俺はケツを疼かせ、夢中で指に吸いついていた。
「んっ、んんっ、う……」
 肛門の奥が燃えるように熱くなっていた。ただ興味本位のいじられ方でも、俺は身悶えてしまう。スラックスから飛び出した一物が腹に貼りついていた。血のにじむ乳首もジンジンと疼いている。
 俺は自分を呪った。責められて燃えてしまうこの体を。
「んんっ!」
 野田が俺の髪の毛を鷲づかみにして揺すぶっていた。俺は痛みに顔を歪ませながら野田を見返した。
「ゆるしてくれ……」
 野田にだけ聞こえるように小さな声で訴えた。
「俺をゆるしてくれ、野田」

   ★ ★ ★



「親父」からの信頼厚く、手下からも慕われる極道の男、島崎。次期組長間違いなしと思われていたその島崎が敵対する高畠組にリンチされ、 男の象徴である「玉」を抜かれてしまう。もう女は抱けないと気落ちした島崎は舎弟の野田に下の世話を焼かせるが、その関係はやがて兄貴分と舎弟から逆転し、犬と主人へと変わっていく(『犬極道』B013RF2G2Yより)。

それから約二年後。
野田はまるで主人と犬のように島崎をマンションに囲い、日々、思うがままその体を弄んでいる。島崎もその立場を受け入れているようには見えるが、無口でなにを考えているのかはわからない。
その頃、中国マフィアの攻勢を受け、近隣一帯の勢力図が書き換えられようとしていた。「親父」の入院が長引き、野心家である野田は次期組長の座を狙う。組の生き残りのため、また、指名争いを勝ち抜くため、野田は中国マフィアに接触をはかる。しかしマフィアからまともな返事はなく、かわりに風変わりなパーティーへの招待状が届く。そこには「ぜひご自慢のペットをお連れください」と書かれていた。
主人と犬の絆が試される、極道SM小説。

『嗅ぐ極道』(初出『SM-Z』)、『穴極道』、『犬極道』に続く極道シリーズ第四弾。

『嗅ぐ極道』で臭いフェチのドMとして堕ちた沢渡、『穴極道』で竿を失い穴いじりに狂う田山もゲスト出演。






 このKindle版『犬極道Ⅱ 憎みきれないろくでなし』は紙の同人誌版から挿絵をいくつか省いたコンパクトバージョンとなっております。
 それでもカラーの表紙絵、裏表紙、モノクロの挿絵が10点ついております。

 企画、編集などはサークル「Hide&Seek」さん。
 表紙、デザイン、挿絵などは龍谷尚樹先生が担当してくださっております。
 そして僕が小説書いてます。


 極道シリーズは時系列で言うと『嗅ぐ極道』B01CGSBNZY(初出ゲイSM専門誌『Super SM-Z』)からはじまり、『犬極道』B013RF2G2Y、この『犬極道Ⅱ 憎みきれないろくでなし』、そして『穴極道』B00H93BSWAと続いています。
 もしかしたら『穴極道』にいたるまでの『犬極道Ⅲ』を今後、書くかもしれません。





この『犬極道Ⅱ 憎みきれないろくでなし』
Kindleバージョンの書評を
小説家の樋口めぐむさんが書いてくださいました。
ありがたや。

樋口めぐむblog・本日もこむら返り

自分では普通にハッピーエンドとして書いたつもりが
そうでもないように捉えられているのが面白かった。

さすがに鋭い。



やっぱり根が暗いのね、僕。

でも根っから明るい人よりかは
暗い人の方が官能小説を書くのには向いている気がする。

というか、いつも晴れやかな気持ちで
すがすがしく生きているような人だったら、
湿っぽい官能小説なんか書かずに
他にできることいっぱいあるよね。

というわけでこれからもジメジメ~、と生きていくことにします。
さびしい人間万歳!




上にはもしかしたらと書いてありますが、
『犬極道Ⅲ』もやることになりました。
なにか事故とかあったらわからないけど、
普通にいったらやるという流れ。

で、他にもいろいろとHide & Seekさんから誘われていて、
やることになりそうです。
話が決まったらまたおしらせします。




今回、初めて知ったんですが、Kindleで自主出版する場合、
著作者とか挿絵とか編集とか、
そういうのを入れる欄には「&」が入らない模様。

入れる方法もあるのかもしれないけど、
よくわからなかった。
なので、本来、「Hide&Seek」と入れたいところをカタカナ表記にしてあります。
だって「HideアンドSeek」だとおかしいし、
「Hide and Seek」よりは「ハイドアンドシーク」と
全部カタカナにした方がいっそいいような気がして……。

アマゾンkdpで出版してみようと考えていらっしゃる方で、
たまたまこのブログを見ている方への情報でした。

あくまでも、たまたま入れられなかっただけなのかもしれないのであしからず。






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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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