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『痴漢電車日記』と『オレの彼氏はおまわりさん③(最終話)』











アマゾンKindleストアにて配信はじまっています。


『痴漢電車日記』


   ★ ★ ★

 ぞっと鳥肌が立った。何か得体の知れないモノを肛◯に入れられたのだ! なのにおれは何も言えなかった。叫びだしたっておかしくない状況なのに、やっぱり言えない。自分の気の弱さにあきれるほどだった。情けない。へんな場所にへんなもの入れられて、もしかしたらこのまま死んでしまうかもしれないのに、少しも逆らえないなんて……。これでも男かよ、おれ?
 次の駅が近づいていた。おれは勇気を振り絞って男の手を振り払い、ズボンを直しながら人と人の間をかきわけた。そしてドアが開くと一番に飛び出した。ホームに足を踏み出して二、三歩進んだ時だった。いきなり、◯の中でぶるぶると振動が始まった。おれは思わず飛び上がり、それから足がすくんで歩けなくなった。たまらずベンチにしゃがみこむと、おれの様子を見ていたらしい駅員が近づいてきた。
「どうしました? 具合が悪いですか?」
 おれは怖かった。何かへんなものを◯門に入れられたんです、なんて、言えるはずがない。男に痴漢されたこと自体、もし知られたら死んでしまいたくなるくらい恥ずかしいことなのだ。その時、振動が止まった。
「いえ、なんでもないです、す、すんません……」
 よろめきながら立ち上がり、また歩き出した。するとまた振動が始まった。おれは息を飲みながらなんとかそれにたえた。振動は止まったりまた動いたりを繰り返した。駅の便所に入って、端っこの個室に逃げ込み、ズボンを下ろし、こわごわと肛◯に手をやると、どうやらそれは完全に◯門の中に入り込んでいるらしかった。表にはまるきり何も出っ張っていない。
「うそだろ……」
 涙がにじんでいた。だけど泣いてる場合じゃないのだ。鼻をグズグズ言わせながら、和式の便器をまたいで力んだ。
「う、あ、くっ……」

   ★ ★ ★




 大学に入りたての若い、体の大きな男の子が毎日毎日ひたすら電車でホモ痴漢にもてあそばれる、そんなエロ小説です。
 ほんとそれだけの話なのに原稿用紙にして90枚もあります。

 今は昔、電子書籍という呼び名がまだ広まっておらず、「ケータイ小説」と呼ばれていた時代から、小玉オサムのゲイ官能小説としてもっとも売れたのがこの『痴漢電車日記』となります。







『オレの彼氏はおまわりさん③(最終話)』


   ★ ★ ★

『おまわりさんの方から会いたいって言ってくれたの初めてだ』
 矢田部は顔が溶けるのではないかというほどうれしそうに笑っていた。初めて公園のトイレで会った時にはいかにも怪しげな男という印象だったのに、人柄を知ってみるとこんなにもやさしくて一途で……。斉藤は胸をせつなくした。
 おれも好きなんだ、この人のこと。
『どうかした?』
「え?」
『なんか思い詰めたような顔になってるぞ、おまわりさん』
「そのおまわりさんって呼び方、やめてよ」
『なんで? おまわりさんはおまわりさんだろ。かっこいいしさ、なんか男っぽいし』
 斉藤は苦笑して返したが、実際、複雑な気持ちになってしまった。
 矢田部さんがおれを好きなのはおれが警察官だからなんだよな。おれが矢田部さんを好きなのは矢田部さんが矢田部さんだからなのに……。
 そこまで考えて、思いついたことがあった。
 もしもおれが警察を辞めて制服を脱いだら、この人、どうするんだろう?
 警察官同士が一番なんだという尾本の言葉も思い出されてくる。デカ長だってそうだ、おれが警察を辞めたら警察官同士じゃなくなるんだから、手を出してこなくなるのかもしれない。
 つまり、おれって人間は警察官じゃなくなったら価値がないのかな……?

   ★ ★ ★



 お互いを想い合う気持ちは確かでも、警察官と一般人の男同士ではうまくいかないものなのか。

 晴れてカップルとなったはずの二人の距離は近づいたり離れたり。
 スケベ受けなデカ長の邪魔も入って……。


 書き下ろしゲイ官能小説。
 第三話で最終話。







というわけで『痴漢電車日記』、結局、配信されました。

アマゾンさまから規約に反しているから配信できない、
みたいなメールはきていたんですが、
それが間違っていたみたい。

単にシステムエラーで配信されないままになっていたとのこと。

変だと思ったんですよね、
たしかに犯罪行為が描かれている小説なわけだけど……。

まあなんでもいいや。

売ってくれるならなんでもいいのだ。



そして『オレの彼氏はおまわりさん』もこれで終わりになります。

書き始めた頃には珍しく難航した小説でしたが
無事に配信まで進んでよかった。
(三人称で書くと手間取る場合がある)




おまわりさんの配信の手続きをした後になって
痴漢が配信はじまったと連絡がきたので、
二日続けての新規配信となってしまいました。
失礼いたしました。

今週末の配信は過去作になります。
どれにするかはまだ決めてません。



紙の同人誌『犬極道Ⅱ』ですが
ゲイショップさんに扱っていただくことがちゃんと決まったみたいです。
販売がはじまったらまたツイッターとブログで報告いたします。




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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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