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『オレの彼氏はおまわりさん①』








アマゾンKindleストアにて配信始まっています。


『オレの彼氏はおまわりさん①』



   ★ ★ ★

 建物の目の前の駐車場に駐まった車の中から家族連れがぞろぞろと降りてくる。中年の夫婦と小さな女の子が二人。それともう一人、若い男前も一緒に階段を上がっていく。子どもたちは若い男の両腕にぶらさがって甘えているが、階段を上がった先で、夫婦と子どもたち、若い男と別れて、向かい合った部屋に入っていく。
 家族ぐるみの付き合いってやつかな。
 矢田部はそれ以上のことは考えていなかった。たしかに男前の警察官には気を引かれたが、私服姿ということもあってとくに執着はせず軽トラを動かそうとした。その時、中年男が自分の部屋からとって返し、若い男の部屋について入っていく姿が見えた。出かけて帰ってきた後に男同士酒でも飲むのかと矢田部は想像した。
 もう一度だけ、郷田の部屋を見上げてから車を出した。軽トラをUターンさせて走り去ろうとした。しかし目の端に、若い男の部屋の窓から湯煙があがっている様が映っていた。十メートルほど走った後になって、矢田部はハッとしてブレーキを踏んだ。
 どうして風呂に入るんだ?
 家族ぐるみの付き合いできっと食事にでも出かけて、その後、警察官同士飲み直すとか、そんな雰囲気だったのに? いや、あの部屋にたとえばあの若い警官の奥さんがいる可能性はある。だけど、夫の上司がいる時に風呂に入るってあるだろうか?
 矢田部は軽トラを降りて道を戻っていった。団地の前に人気はない。そっと建物に歩み寄ってさっき湯煙の見えた窓に近づいた。今はガラスのルーバーが閉まっていて煙も漏れていないし、中は見えないが、かすかに声が聞こえてきた。
 男二人のため息のような声だった。
 思わずのけ反って体を震わせていた。矢田部は気持ちを焦らせて辺りを見回した。外からいかつい顔をしたガタイのでかい男が入ってくるのが見えた。あれもきっと警察官だろうと思うと、こわくなって逃げ出した。怪しまれないように男に笑いかけながら道路に出て軽トラにまっすぐ早足で向かった。乗り込んでバックミラーで確かめても、誰もついてきてはいなかった。
 それなのに心臓が破裂しそうなほど激しく打っていた。

   ★ ★ ★



 地方に暮らすゲイの男、矢田部厚の夢は警察官の彼氏をつくること。しかし田舎町では同じゲイと知り合うこと自体が難しく、まして警察官のゲイなど探しようもない……。
 同じ頃、警察官同士の不倫カップルに別れ話が持ち上がっていた。

 果物店のせがれと交番勤務の若い巡査の恋愛物語。

 書き下ろしゲイ官能小説。
 全三話。







こちらもまた、ツイッターのフォロワーさまのリクエストがきっかけで書いた小説になります。

ただしそのリクエストというのは、リアルな一般人と警察官の恋愛もの。

はじめはリアル路線で話を考えようとしたのですが、
どうもうまくいかない。
ピンとこないまま、物語路線のアイデアが出てきてしまい、
そのアイデアは横においてリアル路線書けないかな?と考えたんですが……。

リアル路線の警察官ネタはまたの機会になりました。




リアル路線の話ってどうしても地味になるから、
それなりに読ませるように書くのって難しいような気がする……。

デビューして二十五年目なんですが、
いまさらそんなことに気づいた今日この頃です。

というか、物語路線とかリアル路線とか分けて考えたの初めてだった……。
いや、考えたことあるのかもしれないけど、
全部忘れちゃう。






「毎週配信」とうたっていたのに一週抜けてない?
と気づかれた方ももしかしたらいるかもしれないので説明します。

実はこの『オレの彼氏はおまわりさん』の前の週に
昔、ジーメンかSM-Zで掲載していただいた『痴漢電車日記』という小説を
配信する予定でした。

いつもどおりにアマゾンkdpさまのサイトで配信の手続きをして、
先々週の金曜の朝には、著者の管理画面上では
配信がはじまっているという表示にかわり、
アマゾンさまから配信はじまっているよというメールもきて。

いつもはこの時点でアマゾンのショッピングサイトで検索して、
そこからリンクをつくり、このブログに貼りつけているのですが、
今回はいくら検索しても出てこない。

タイミングが悪いのかな~、と考えて夕方くらいまで放置してあったのですが、
なんかおかしいと思いアマゾンさまにメールで問い合わせ。
調査しますという返事をいただいて、
一週間くらいして「まだ調査中」というメールがきて、
どうなってんの?と思っていると、
アマゾンさまのちがう部署から
『痴漢電車日記』はKindleの規約に反しているから配信できない、
とのお達しメールが……。

どこが引っかかっているのかの説明はないんですよ。
できないのかな?
内容が猥褻で反社会的だからですかね。

この小説の中においては痴漢という犯罪行為がなんの糾弾も受けないまま
最後まで繰り返されているので、そういうのがいけないのか……。

たしかに自分で十年ぶりくらいに校正のために読み返して、
ひどいなとは思ったんですよ。
百枚くらいだったかな、かなり長い小説なのに、
物語的な展開がほとんどない。
主人公は大学に入りたての学生で、
体は大きいけど気の弱い男の子。
それがホモ車両で繰り返し繰り返しひどい目にあい、
マゾにされてしまうという、
ほんとそれのみの内容。

これならアマゾンさまに拒絶されても仕方ないのかもしれない……。



それか、
単に「痴漢」というタイトルがいけない、という可能性もある。
たとえば『痴◯電車日記』とタイトルを手直しして、
内容はそのまんまで申請しなおしたら通るかもしれない。
担当した人によって判断変わるだろうから。
(いずれチャレンジしてみます)

とにかく、ゲイ雑誌に掲載してもらってある小説で
まだKindleで配信していないものがたぶん二百本近くあるだろうから、
これにこだわらず、次にいくことにします。



ちなみに『痴漢電車日記』はケータイ小説時代から電子書籍に
していただいていて、
僕の電子書籍の中で一番売れている小説。

まだまだケータイ小説としてはゲイ小説が珍しかった時代
ということもありますが、
なぜだかこの『痴漢電車日記』だけ群を抜いて売れたという
謎作品なのでした。
(と言ってもたいした数ではない)

興味をもっていただいた方がいらっしゃいましたら、
DLサイトなどでも配信されていますのでよかったらどうぞ。




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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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