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『ラーメン屋の嫁探し』








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『ラーメン屋の嫁探し』



   ★ ★ ★

 トイレから出てきたのはいかにも山好みの若い男だった。体はがっしりとたくましく、短髪で男らしい顔つきをしている。そのくせまだまだ幼さの残った頼りなげな表情も見え隠れする。若い男はカウンターの端に一人で座った。そして山の強面顔にちらっと視線を投げてきた。
 山はニヤッと笑ってグラス片手に立ち上がった。それを見たマスターが声をかけてきた。
「ちょっと山さん、あの子は……」
「うるせ、口出しすんな」
 山はニタニタ笑いながら若い男の隣に腰かけた。
「ここ座っていいか?」
「え、はい。もう座ってるけど……」
「ハハ、そうだな、おれはズーズーしいから……。そういうの、嫌いか?」
「え、ううん」
「名前は? おれは山」
「しげるです」
 しげるは山のペースがおかしくて笑った。山も笑った。
「しげる君は……」
「しげって呼んでください」
「よし、しげは、学生か?」
「そう。大学四年です」
「頭いいんだなあ。一人暮らしか?」
「はい」
「バイトしてんのか?」
「え、今はとくに……」
「そうかそうか」
 山はニコニコと笑ってしげるの肩に手をおいた。強引に抱き寄せ、耳元に口をつけて言う。
「おれみたいなおじんでもいいのか?」
「え、うん……」
「ホテル行くか? かわいがってやるぞ、ヒーヒー言わしてやる。お前はなんにもしなくていい、感じて、よがってりゃいい」
 山はしげるの耳たぶを軽く噛み、太股を撫で回した。そしてしげるの手をとって自分の股ぐらに押し当てた。
「そら、かてえだろ? お前の匂い嗅いだらもうこんなになっちまった」
「おじさん、オレも……」
「ホテル行くか?」
 しげるは頬を赤らめてコクリとうなずいた。山はニタニタ笑ってマスターを見た。
「勘定だ。こいつの分もな」

   ★ ★ ★



 山道にある知る人ぞ知るうまいラーメン店。
 無愛想なオヤジと若い男の店員で切り盛りされている隠れた人気店だが、毎年、店主の気まぐれで長く店じまいしてしまう。
 その理由とは……。


 注意! 嫁探しとありますがゲイ官能小説です。

 頑固でスケベなラーメン屋のオヤジの魅力をあなたに。

 初出『ジーメン』。









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ツイッターにちょっと書きましたが、
これ、元ネタがあります。

昔、父が房総の海に釣りに出かけるのに車で山道を通った時、
よく食べたラーメン屋さんがあり、
そこのオヤジさんというのが奥さんだか彼女だかに手伝わせて
お店をやっているんだけれど、
いつも山の中で毎日ラーメン屋を手伝うだけの生活に飽いてしまうのか、
その奥さんだか彼女だかが逃げ出してしまい、
独りになるとオヤジさん、そのたび店を何ヶ月も閉めて、
町に出て新しい女を探して歩き、
彼女だか奥さんとしてモノにすると、
ラーメン屋に連れ帰って手伝わせるということを繰り返していた……、

という話を父から聞いたのが二、三十年前のこと。



なんて男らしさだろうと感動して書いたのが
この『ラーメン屋の嫁探し』。

十八年から二十年ほど前の小説となります。




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コメント

[C48]

これ原作にしたマンガあります?
同じようなはなし読んだことある。

[C50] Re: タイトルなし

もしかしたらですが……、今までに何人かの漫画家の方々に僕の小説を漫画化してもらってきましたが、一本だけ、漫画化されたようなされてないような、記憶が確かでないものがあるのです。
編集から話はもらったんだけど、漫画専門誌に掲載されて、僕のところには掲載誌がこなくて、実物を見てないから、どなたが漫画化してくれたのかさえも定かでなくなってしまった、という……。

ただ、記憶違いで、そんなものはなかった、という可能性もあります。
  • 2016-05-14 14:47
  • osamukodama
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プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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