アマゾンKindleストアに配信始まりました。
『親父・出張の夜』
★★★★★
翌朝になって思い返した時に初めて、あの青年はもしかしてゲイということなのかと角野はようやく思いついた。あれはただのマッサージじゃない。性的なサービスだったのだ、と。
まさかこの年であんな経験をすることになるとは……。
出張を終えて自宅に帰るといつもの日常が戻ってくる。妻と子ども二人と過ごしていると、あの夜、ビジネスホテルで受けたマッサージのことはすっかり忘れてしまう。しかしオフィスで働いている時などに、ふと、あの青年のことが頭に浮かぶようになった。満員電車に揺られながら、肛門の奥を指で探られるあの感覚を思い出した。しかし角野はごく普通の異性愛者だから、青年の肉体やその心に興味もなかった。一週間ほど経って、あの日着ていたのと同じスーツに袖を通した。上着のポケットを探ったら名刺が出てきた。迷わずそれをゴミ箱に放り込んだ。
それから数日後、角野はあのホテルの部屋で浴衣を体に巻きつけていた。
チャイムが鳴り、ドアを開けるとあの青年が立っていた。ゴミ箱の中でいったん折れ曲がった名刺がベッドサイドの小さなテーブルの上に置かれていた。
裸になるように言われてベッドにうつ伏せで寝転んだ。オイルをつけた青年の手が背中を這い回る。足指の間をヌルヌルと広げられた時には心地よさに息を大きく吐き出した。ふくらはぎ、太ももとこすられている間はただ心地よいだけだったが、その指が肛門のまわりや睾丸の付け根辺りをこすり出すと勃起した。角野は枕を抱え込んで横を向いた。するとすぐそこに青年の股間が見えた。白衣の上着に黒いジャージズボンだから目立たないが、ジャージの布地が左に寄って盛り上がっていた。
角野は戸惑った。やはりゲイということなのか。青年を指名したことを後悔した。
「友だちの親父さんに似てるんです」
そう言われても意味がわからなかった。
「親父さん?」
「はい。同級生の友だちがいるんですけど、その親父さんがお客さんにそっくりで」
「へえ」
ただの世間話と思ったから受け流すつもりでいた。だがピンとくるものがあった。
「その親父さんが好きなのかい?」
自分で聞いておいて、よけいなことを言ったと角野は思った。
「はい。こんな風に、お客さんにしてるようなことしてやりたいって思ってたんです」
「オ、オオ……」
オイルをまとった指がズルーッと肛門に入り込んでいた。
★★★★★
ノンケの既婚中年サラリーマン。
出張先のビジネスホテルでマッサージを呼んだら思いがけないサービスを受けることに……。
気持ちのいいことに男は逆らえない。
ゲイ官能小説。
シンプルポルノ。
先週は『ヤクザを飼う』の配信がはじまらず、ご心配おかけしました。
数日前から配信、始まっております。
以前にも似たような不具合が何度かあったんですけど、その時と一緒で、結果的に原因はわからないままに終わりました。
アマゾン様はちゃんと調査してくれたのですが、調査の結果がいつ出るのかわからないので、配信を中止して、新たに配信の手続きを一からやり直す、という形を僕の方から提案して、実施したという流れでした。
すると今度は普通に配信が始まりました。
で、配信が中止された書籍に関しては調査をしない、という規定でもあるらしく、アマゾン様の調査は終了。
今後のこともあるので原因を知りたいという気持ちもありますが、まあ、とにかく配信できたのだからいいか、という感じ。
予告です。
次の配信は書き下ろし作『鑑識七尾寛次郎 警察署長の性』となります。
そしてその次は『吉田警部の事件簿 隈吉源三18』となる予定。
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最後にこの作品の最後の方の犬とのくだりがとても切なくて真間の優しさを感じてしまい…本当に小玉先生は人間の優しさを自然に出してくるのが上手で自分みたいなMオヤジはいつもそれで自分が恥ずかしくなってきます…相手が本当にどうしようもない悪党だったら自分も満足感だけを楽しめるかもしれませんが…またそれが小玉先生の良いところでもあり…そういう作品も嫌いではありません。これからも色々な作品を宜しくお願いします。