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『汚されたスーツ2 叩かれたい部長の尻 中編(全三回)』
★★★★★
広い畳敷きの部屋に料理ののった膳がコの字に並んでいた。太田と周防が上座につくと酒が運ばれてくる。場所は立派でも営業部の飲み会だから毎度の無礼講で、男たちは浴びるように酒を飲む。酔いが回ってくると下座から順番に芸をさせられる。はじめこそマジックやブレイクダンスといった変わり種も見られたが、すぐにネタが尽きて裸踊りが始まった。
「うちじゃお決まりのパターンなんですよ」
周防が笑っていた。中堅どころの部下が三人、ネクタイをはちまきのように頭に巻き、踊りながら一枚、また一枚とストリップショーのように脱いでいく。他の男たちはみなそろって手拍子を取る。太田も付き合いで手を叩いた。営業部の悪ノリには慣れているが、なにが面白いのかわからなかった。しかし酔っ払い男たちはみな大笑いで喜んでいる。
「本部長も特別参加だ!」
いきなり周防が叫ぶように言ったのだった。太田は驚いて周防の顔を見た。周防はニヤニヤと底意地の悪そうな笑みを浮かべてうなずいてみせる。すでに上司を見る目ではなかった。当然太田が言いなりになると確信したサディストの目だ。
太田はよろめきながら立ち上がった。すでに半裸となった男たちの間に挟まれるように並ぶ。手拍子と歌が始まり、男たちは中腰になり体をくねらせるようにして踊り出す。どうやらこの地方の祭りや宴席での定番の踊りらしかった。太田も見よう見まねで踊った。とたんに酒を飲む男たちが吠えるように騒いだ。他の男たちに習い、歌の区切りでネクタイをとり頭に巻いた。するとさらに大きな声で男たちが唸った。
営業部の一体感を盛り上げる儀式のようなものだった。体育会の新人歓迎会でグラウンドを裸で走らせるのと一緒だ。仲間と一緒に恥をかくことで強い連帯感が生まれる。群れの一員になるための通過儀礼なのだった。
歌にあわせ上着を脱ぎ、ワイシャツを脱ぎ、スラックスまで脱ぎ捨てていく。これで一緒に踊る男たちと同じ姿だ。上は肌着のタンクトップ下はトランクス一枚、後は頭に巻いたネクタイと黒靴下。普段は妻にしか見せない無防備な姿で、音頭に合わせひょいひょいと手を振り上げたり下ろしたり、中腰で前に出たり横に動いたりを繰り返す。よくある宴会芸であり、一緒に踊る男たちは笑って楽しんでいる。太田も笑みを浮かべてはいた。
しかし周防の視線が気になっていた。なにかを企んでいるような顔なのだ。
「おっ勃てろ、それ、おっ勃てろ!」
周防が手拍子にあわせて声を上げていた。輪唱のように男たちの声が続く。
「おっ勃てろ、それ、おっ勃てろ!」
太田は意味がわからなかった。しかし一緒に踊る男たちの動きがすでに変わっていた。それまでのひょうきんとも言える踊りではなく、膝を曲げ、腰を突き出す振り付けを繰り返している。勇壮とも言えるが、卑猥な動きだった。五穀豊穣を祈る意味合いがあると太田にも想像はついた。裸踊りのクライマックスのようだった。
太田もまわりにならい、腰を突き出した。
「おっ勃てろ、それ、おっ勃てろ!」
★★★★★
宴席でのおふざけで「トップの成績をとった奴に俺の尻を叩かせてやる」と約束してしまった営業部長の太田。
若い部下に尻を叩かれることで異様な興奮を覚えるようになり、フェラチオ奉仕や肛門を犯される喜びを知る。
本部長に昇進したとたん、会社ぐるみの不正事件に巻き込まれ、取引先へのお詫び行脚がはじまり、行く先々で土下座し小突かれ、泥まみれに。
しかしその屈辱にまた燃え上がり……。
成績の振るわない営業所の所長たちに秘密を知られた太田。
本来、発破をかける立場のはずが、脅され、辱められ、強烈な興奮と官能の渦の中に墜とされていく。
『叩かれたい部長の尻 汚されたスーツ』で冴えない営業マン木崎と関係を持つようになった太田のその後を描く続編。
ゲイ官能小説。
書き下ろし作。
後編まで書き終わって読み返したら、ちょっとSMに飽きてしまっている自分に気づきました。
やりすぎてるな、って。
そういえばこの半年くらいほとんどずっとSMばかり書いていたような。
そして続き物、というか、長めの作品、続編などばかり。
しばらくリフレッシュしたいので、今後は読み切りの短編を何本か書く予定でいます。
気楽に読めるエッチなお話、という感じのもの。
昔、雑誌に書いていたようなものを。
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[C1013] 執筆活動お疲れ様です。