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ゲイ小説『軽い心』無料キャンペーンやってます










年越し記念無料キャンペーンやってます。


『軽い心』


 "彼との出会いは少しばかり変わったものだった。
 友だちの家でおこなわれた食事会で出会ったのだ。
 そんなのごくありふれてると思われるかもしれないけれど、当時の日本に住むゲイとしては、そういう出会い方というのはむしろ珍しい部類に入っていた。"
 主人公の御堂は大学のゲイサークルが主催する食事会で二歳年上の吉永と出会う。時代はバブルが弾ける寸前、日本でもエイズ禍が始まろうとしている頃だった。吉永との25年に及ぶ関係を軸に、親友で感染者の角田、その恋人の中年男佐渡、御堂の仕事を手伝うことになる絹代、大家の加藤、そして吉永の家族など、その時々に知り合う人々との人間模様が描かれる。
 "ただ、心が軽すぎるんだ、どこかに飛んで行ってしまいそうなほど。"
 身近な人間の死や、流されて生きる自分の人生というものに漂泊の思いを強くする御堂の、「軽すぎる心」の旅路。
 未発表作品。400字詰原稿用紙にして228枚の長編。
( 注意! ポルノではありません! 非ポルノのゲイ小説)




前にもこれ、無料キャンペーンやったと思うんですけど、
他に見当たらなかったので、なんとなくこれに……。

官能小説じゃないから、たぶん子どもでも読めるし。
読まないか、子ども……。

すでに有料でお買い上げいただいている方、
たいへん申し訳ありません。

たまにでも無料キャンペーンやると、
そこを入り口に新しい読者さんが増える場合がたまにある。
期待したいところですが、どうかなあ……。









話はかわりますが、数日前に銀行の人がうちにやってきました。

このブログや、前のブログまで読んでくださっている方は覚えているかもですが、
うちは小さな会社をしていて、駅前に小さいビルを持っています。
ビルを買うのに借金をして、その残額がまだ一億六千万以上ある。
十年近く前から、家賃収入だけでは返済が追いつかなくなり、
毎月の元金の支払を少なくしてもらっている。
そういうの条件変更とか言うらしいんですが、
年に一回、書類を用意してもらい、判子押したりなんだりしなくちゃいけない。

父が倒れてからは銀行の人が書類をうちまで持ってきてくれるようになり、
うちで親子三人サインしたりなんだりするんですけど、
今回は父が「俺はサインしない」と言い出した。

「ここにサインしてくれないとうちが破産しちゃうんだよ?」
「なんのサインなの?」
「だから今、説明したでしょ? 会社の借金の支払を少なくしてもらう書類だよ」
「借金なんかしていない」
「お父さんが借りたお金だよ? 覚えてないの?」
「借りたけど、もう返した」
「まだ返済完了まで十年以上あるのに、どうやって返したんだよ?」

途中からは銀行の人を詐欺師呼ばわりしはじめて、
「あんた、懲役に行くよ」「どこの不動産屋?」「もう金は返した」
「俺は騙されない」「どこの不動産屋?」

どうも悪い不動産屋に騙されているという妄想が頭の中で渦巻いている様子。

もしもこの手続きができないとなると、
本当にうちは破産ってことになり、
ビルはもちろん、抵当に入っている自宅の土地も差し押さえられてしまう。
困った。

イライラするし、頭にきて
「そもそもお父さんが借りたお金なんだよ? 僕はまだ学生だったのに保証人にさせられた。今までうちの会社からは一銭も僕は給料だってとってない。責任だけ負わされて、面倒なことを押しつけられて、毎日お父さんのオシメをかえて、これだけ一生懸命やってるのに、僕の言うことが信じられないのか!」
泣いてみせようかとも考えたんですが、
さすがにバカバカしくてやめました。

「お父さんがここにサインをしないとうちは破産して生活保護で生活することになる。それでもいいの?」
「そうなったらなったでしかたない」
「いつも僕とお母さんはお父さんのためにいろいろしているのに、その僕たちの言うことが聞けないわけ?」
「それは感謝してる。でもサインはしない」
「だったらもうお父さんの言うことも聞かないよ。お父さんはベッドで寝たきりでオシメも汚いままで二、三日で死んじゃうだろうけど、それでもいいの?」
「死んでもしかたない」
脅してもダメ。

いろいろやりとりしている間に、
最近、テレビでよくUFOとか陰謀の番組を
父が熱心に見ていたことを思い出しました。
ニュースでは毎日のように振り込め詐欺の話が出てくるし、
たぶんそういうの影響するんでしょうね。
認知症の人間の妄想をたくましくするみたい。


偽の銀行員に僕や母もそろって騙されているという妄想……。
だったらいっそ、と思いつきました。
「じゃあ、これから銀行に行こう? 偽物の銀行員なら銀行に入れない。そうでしょ? 銀行まで行って確認とれたら、サインしてくれる?」
「わかった」
「約束だよ? いいね?」
急遽、車で父を銀行まで連れて行くことになりました。
父は車椅子で、しかも片足を壊疽で切断済み。
しかも切断面部分がここ最近膿んできて、
様子を見ているところでした。
車に乗り込むのも降りるのも、
ほとんど僕一人の力で抱え上げないといけない。
腰痛持ちには大仕事ですよ。
それでも銀行に連れて行きさえすれば、
さすがの父も納得してサインするだろうと考えたのが甘かった。

銀行についたのは三時過ぎ。
なので裏口を開けてもらって店内に。
それでも父はまだ信用してくれない。
銀行店内の隅の商談スペースに通されて、
「じゃあ、わかったでしょ? サインして」
と僕が言っても、銀行員の顔を見つめて、
「あんた、じゃあ、そっちのカウンターの中に入ってみて」
この時点でもまだ、
偽の銀行員が銀行の中で芝居をしていると言うんです。

しかたないので銀行員に中に入ってもらって、普通の受付で、
カウンターごしに向かい合いました。
「これでもまだ騙されてるって言うの? 約束したでしょ? ほら、サインするよ?」
「しない」
「なんで? ここが銀行だっていうのは間違いないってさっき自分で確認したじゃない」
「四月まで待って」
「四月? なんで四月なの? 四月になにがあるの?」
「四月になればわかる」
「いったいなんなんだよ? だったらなんでここまできたんだよ!」
「M(姪の名前)がいるだろ?」
「なんでMの話になるの……」
「四月に卒業するだろ?」
「だから?」
「大きなお屋敷に嫁入りする」
「……いったいなに言ってんの? どうして僕たちを苦しめるの? こんなにたのんでるじゃん? なんでなんだよ!」

実際には取り乱したわけじゃないんですけど、
(銀行の人たちの哀れを誘ってやろうという計算がちょっとあった)
僕の声は閉店後の銀行内にそれなりに響き渡ったようで、
そこで銀行の偉い人に呼び出されました。

「今日は手続きできないけれど、
保証人が認知症になった場合、サインしなくて済ませるという手続きがあるから、本社に連絡するので来年またあらためて手続きしましょう。」


母と二人、何度も頭を下げて銀行から出ました。
父は、僕と母も騙されていて、
そんな僕たちを守るつもりもあって、
サインしないと言い張ったのはわかってるんです。

でもまあ、今度ばかりは疲れた。
どんどん悲しい気持ちになってくるし……。

サインして、という話をぴたりとやめて、
車に乗せて、家に連れて帰ってきても、
父はなんにも言いません。
その段階で、もうサインするしないとか、
四月になると孫が嫁入りするとか、
妄想もなにも忘れてしまったかのように。

認知症の人間相手に、まともに話をつけようとするのが間違い。
理屈ではわかっていても、
やはりまだ、父を以前の父として見るクセが僕の中に残っていて、
「もうこの人はあの頃の父ではないんだ」
ということが認められないのです。

バカみたい。



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コメント

[C34]

大変でしたね。
うちは母名義の不動産の売却のために成年後見人の手続きをしました。

こういう場合にも応用できるのでは?
  • 2015-12-31 16:18
  • マキ
  • URL
  • 編集

[C35] Re: タイトルなし

ぼけても障害者になっても借金の保証人を途中でやめることはできないみたいです。
でもサインを省略できるようになるらしいので、問題はありません。
お騒がせしました……。
ブログに書くことでストレス発散しちゃいました。
  • 2015-12-31 17:56
  • osamukodama
  • URL
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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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