FC2ブログ

Entries

『のぼせ 後編(全二回)』






アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。


『のぼせ 後編(全二回)』


★★★★★

 根本はいつもよりよくしゃべった。安食堂でもりもり食っている間もずっと上機嫌で話しかけてくる。俺はテキトーに相づち打っていただけだが、ぜんぜん気にしていない。
「うー、食った食った。やっぱここのデカ盛りはすげえな」
 根本は張り出した腹をさすって爪楊枝をくわえた。そうして伝票とってレジに立つ。俺が自分の分を渡そうとすると、今日はおごってやる、と得意そうに笑う。なんだか気味が悪かった。
「で、お前んち行くのか、それとも俺のアパートか」
 俺が言いかけている間から、根本は遮るように口を挟んだ。
「あっちの国道に新しい店ができたんだと。行ってみようぜ」
「店?」
「作業服とかそういう店だ」
 それは労務者に必要なものが一通り揃った店だった。俺も興味がないわけじゃないが、今持ってるもので足りてるのだから、根本に付き合うだけだ。根本は渋い紺色の鳶装束を試着すると言い出した。俺たち鳶じゃねえぞ、と思いながらも、俺はテキトーにうなずいていた。
「ジャジャジャ、ジャーン」
 根本は自分で口ずさみながらカーテンを開いた。そうして俺に向かってどや顔してみせた。たしかに男っぽい奴なんだから、紺色も似合うし、鳶の格好も似合う。だからって、なんなんだ?
「前に付き合った女はよ、俺のこういう格好が好きだって言ってたんだけどよ、お前もそんなもんか?」
「は?」
「男が好きなんだ、そういうことだよな」
 根本は勝手に納得した風にうなずいた。なんだか妙だった。やっぱりおかしい。
「お前、どういう、」
「なあ、甘いもんが食いてえなあ」
「はあ?」
「お前も嫌いじゃないだろ? 付き合え、おごってやるから」
 根本は五本指の靴下やらいくつか買い込んで外に出た。そしてすぐとなりにあったファミレスに入った。俺は戸惑いながらもついていった。根本はなんの迷いもなく、メニューにでかでかと写真で紹介されている甘そうなパフェを注文した。俺がコーヒーを頼むと、なんだよ、お前も同じもん食えよと言って聞かず、ウエイトレスにパフェを二つ注文してしまった。きっと前に付き合った女と二人でそういうものを食っていたのだろう。だから慣れている。いや、それだけじゃなくて……。
 根本は前に付き合った女のことをいろいろと話してきた。未練があるとかかわいかったとかセックスの話かと思ったら、そういうことはほとんど飛ばして、その女とどんなデートをしたのかの解説だった。
「だいたいは昼頃に合流して飯食って、買い物して、ファミレスでお茶だな、定番だろ、そういうの?」
 つまり今日、俺たちがたどったようなコースが好みだと言い聞かされているのだ。
 まさか、こいつはノンケのはず……。
 俺は首をひねったが、ファミレスでグダグダした後は、飲みに行こうと腕をつかまれた。それもまた彼女とのデートコースの締めだったらしいのだが、楽しかった頃を思いだしたのか酒が入るとますます上機嫌になって、二時間飲んで居酒屋を出た時にはもうヘロヘロだった。
「おい、ちょっとこっちこい」
「なんだよ、しっかりしろって」
「いいからこいって」
 根本は俺の襟首をつかんで引っ張った。俺はチビだし後ろからつかみあげられて振り払うのに手間取った。その間に、電信柱の影に引き込まれキスされてしまった。ぬらりぬらりと酒臭い舌が俺の口の中をかきまわして、唾を送り込んできた。俺は反射的に飲み込んでしまってから、ようやく腕を振り回して根本の胸の中から逃げ出した。
「お前、どういう、」
「うー、どうなんだ、こういうの? まだわかんねえなあ」
 根本は考え込むような顔で腕を組み、首をひねった。顔から太い首筋まで真っ赤に染めて、かなり酔っぱらっているのは間違いない。やっぱり今日のこれはデートのつもりだったのだ。だが男のケツの味や尺八のよさにハマッたとしても、それでノンケがホモになるとも思えない。
「おい、もう帰って寝た方がいいぞ」
「ふざけんな。もちろんうち行くぞ。デートの最後は一発と決まってんだろが」

★★★★★




 土建屋に勤める三十代の主人公。

 ハゲ頭の社長に惚れているが、社長の好みは若くてシュッとしてるノンケ男。
 つらい片想いに悩んでいたら、同僚のノンケ男にしゃぶってくれとたのまれて……。

 図々しいノンケ男二人と、根っからの男好き二人の、奇妙な四角関係の物語。


 ゲイ官能小説。
 初出『ジーメン』。
 二回連載の後編。








最近、したいこととか欲しいものとか、そういうのがどんどんなくなってきちゃったんですよね。
前から減ってはいたんですけど、ここのところ、とくに。

旅行したいという気持ちもいまいち盛り上がらず。

したい、とは思うけど、お金を使いたくない気分。
その分を貯金したところで、とくに使い道もないのに。

人間、いつ死んじゃうかわからないのだから、お金は使った方がいいですよね。
そう思うのになんだかもったいない。


なんて言いながら数日後に予約入れてたりするかもだけど。






スポンサーサイト

コメント

[C96] 御無沙汰しております。

御無沙汰しております。以前に何度かコメントさせて頂いたオヤジでした。
最近はKindleで買っては読んでいるだけでしたが、少しコメントをと思いまして…あまり良いコメントも出来ないと思いますし、買って読ませて頂いた冊数が70冊近いので、いっぺんに全部は無理ですが、自分の好きなモノを思いついた感じで書かせて貰います。
それでは、最近自分が気に入ったのは、「同窓会」でした。
なんと言っても、責め側の自信に満ちた容赦ない責め、過去の立場からの下剋上、また、容赦ないおとしめ…最高です。
そして、その責めやおとしめに抗えないMオヤジ…凄く気持ちがわかります…。
また、こんな作品をお願いいたします。
基本、小玉先生の作品は最後はホンワカした感じが多い中の、これは、貴重な作品だと思います。
それでは、また…出来れば新作など頑張って下さい!
最後に、自分の書いたコメントがわからなくなるので、公開コメントにさせて頂きます。
非公開にすると自分が見直せなくなるものですから…スミマセン。
もし、御迷惑でしたら、いつでも削除して下さい。
それでは、これで失礼させて頂きます。
  • 2018-03-28 21:49
  • 道産子Mオヤジ
  • URL
  • 編集

[C99] 読ませて頂きました。

お疲れさまです。今回は『真夜中の足音』
を読ませて頂きましたが…自分の一番苦手な分野で…感想はあまりないのですが…義理の相手だと良かったのですが…父も兄も…また、この手のモノは、自分の中で自分の都合良く置き換え出来ないモノで…スミマセン…でも、ストーリーと言うか…人物ではなく…流れは好きなモノでした。それでは、また、色々楽しみにしてます。
  • 2018-03-30 15:10
  • 道産子Mオヤジ
  • URL
  • 編集

[C100] 読ませて頂きました。む

今回は『家族の嫌われもの』読ませて頂きました。
嫌われ親父さんの見た目(実際に見たとか、具体的にわかるわけではないけど…)好きです…。ただ…自分的には、この親父さんに奉仕したい(本当に自分勝手で申し訳ないです)方で…また、勝手に話を自分なりに消化させて頂き、楽しませてもらいました。それでは、また、コメントさせて頂きます。頑張って下さい!
  • 2018-03-30 16:29
  • 道産子Mオヤジ
  • URL
  • 編集

[C102] Re: 御無沙汰しております。

どうもお久しぶりです。
コメントいただいていたことに気がつかずお返事遅くなりました。すいません。

そしてありがとうございます。
これたしかSM-Zに書いた小説なので、厳しめの内容になっていたような。
編集長様がほんとのSの人だったのでそれにあわせたような記憶が。

> 御無沙汰しております。以前に何度かコメントさせて頂いたオヤジでした。
> 最近はKindleで買っては読んでいるだけでしたが、少しコメントをと思いまして…あまり良いコメントも出来ないと思いますし、買って読ませて頂いた冊数が70冊近いので、いっぺんに全部は無理ですが、自分の好きなモノを思いついた感じで書かせて貰います。
> それでは、最近自分が気に入ったのは、「同窓会」でした。
> なんと言っても、責め側の自信に満ちた容赦ない責め、過去の立場からの下剋上、また、容赦ないおとしめ…最高です。
> そして、その責めやおとしめに抗えないMオヤジ…凄く気持ちがわかります…。
> また、こんな作品をお願いいたします。
> 基本、小玉先生の作品は最後はホンワカした感じが多い中の、これは、貴重な作品だと思います。
> それでは、また…出来れば新作など頑張って下さい!
> 最後に、自分の書いたコメントがわからなくなるので、公開コメントにさせて頂きます。
> 非公開にすると自分が見直せなくなるものですから…スミマセン。
> もし、御迷惑でしたら、いつでも削除して下さい。
> それでは、これで失礼させて頂きます。
  • 2018-04-08 15:01
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

[C105] Re: 読ませて頂きました。

近親相姦嫌いなんでしたよね。
だとするとこれはちょっと……、ですよね。


> お疲れさまです。今回は『真夜中の足音』
> を読ませて頂きましたが…自分の一番苦手な分野で…感想はあまりないのですが…義理の相手だと良かったのですが…父も兄も…また、この手のモノは、自分の中で自分の都合良く置き換え出来ないモノで…スミマセン…でも、ストーリーと言うか…人物ではなく…流れは好きなモノでした。それでは、また、色々楽しみにしてます。
  • 2018-04-08 15:11
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

[C106] Re: 読ませて頂きました。む

ですよね。
道産子Mオヤジさんの好みにくわしくなってきたような気がします。


> 今回は『家族の嫌われもの』読ませて頂きました。
> 嫌われ親父さんの見た目(実際に見たとか、具体的にわかるわけではないけど…)好きです…。ただ…自分的には、この親父さんに奉仕したい(本当に自分勝手で申し訳ないです)方で…また、勝手に話を自分なりに消化させて頂き、楽しませてもらいました。それでは、また、コメントさせて頂きます。頑張って下さい!
  • 2018-04-08 15:12
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューして28年目に入りました。かなり本格的なおじさんになっているはずなんですがピンとこない。と思っていたら鼻毛が飛び出していた! 耳の中もサワサワするから耳毛チェックしないと。スマホに接続して使える内視鏡みたいなやつを前に買ったの使って確かめないといけないとここ数日考えているんですが、面倒で放置しています。この怠惰な心こそがおじさんになったことを証明しているのかな。
ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

僕のこと買ってよ

[小玉オサム文庫] の【ラーメン屋の嫁探し】 [小玉オサム文庫] の【ラブホテル 小玉オサム作品集40】 [小玉オサム文庫] の【鉄砲 小玉オサム作品集39】 [小玉オサム文庫] の【刺青 小玉オサム作品集38】 [小玉オサム文庫] の【俺たちと先生(全三話)】 [小玉オサム文庫] の【新聞オヤジ 小玉オサム作品集36】 [小玉オサム文庫] の【陸曹物語(全話)】 [小玉オサム文庫] の【マタギ肛虐伝 四の巻】 [小玉オサム文庫] の【マタギ肛虐伝 参の巻】 [小玉オサム文庫] の【マタギ肛虐伝 弐の巻】 [小玉オサム文庫] の【マタギ肛虐伝 壱の巻】 [小玉オサム文庫] の【七年目の浮気】 [小玉オサム文庫] の【記憶喪失の男】 [小玉オサム文庫] の【握り心地】 [小玉オサム文庫] の【嗅ぐ極道】 [小玉オサム文庫] の【エロすぎる弟】 [小玉オサム文庫] の【兄貴のお下がり】 [小玉オサム文庫] の【遊走 小玉オサム作品集24】 [小玉オサム文庫] の【漂流 小玉オサム作品集(23)】 [小玉オサム文庫] の【男が男を愛する時】 [小玉オサム文庫] の【営業部の男たち】 [小玉オサム文庫] の【よし坊とおっちゃん3】 [小玉オサム文庫] の【陸士たち(全話)】 [小玉オサム文庫] の【よし坊とおっちゃん2】 [小玉オサム文庫] の【ろくでなし 小玉オサム作品集(17)】 [小玉オサム文庫] の【よし坊とおっちゃん】 [小玉オサム文庫] の【夫同士 小玉オサム作品集(15)】 [小玉オサム文庫] の【舅の味 小玉オサム作品集(14)】 [小玉オサム文庫] の【弁護士隈吉源三(7)&(8)&(9)】 [小玉オサム文庫] の【脅迫 小玉オサム作品集(12)】 [小玉オサム文庫] の【先生の味 小玉オサム作品集(10)】 [小玉オサム文庫] の【弁護士隈吉源三(3)&(4)】 [小玉オサム文庫] の【弁護士隈吉源三(1)&(2)】 [小玉オサム文庫] の【性悪婿】 [小玉オサム文庫] の【俺の教育実習】 [小玉オサム文庫] の【父と息子の性教育 全五話】 [小玉オサム文庫] の【塾をサボった男の子】 [小玉オサム文庫] の【オレの彼氏はおまわりさん 小玉オサム作品集(3)】 [小玉オサム文庫] の【堕・若パパ 小玉オサム作品集(2)】 [小玉オサム文庫] の【日本の男 小玉オサム作品集(1) 俺の親父 乗車記録 日本の男 家庭訪問-教師と生徒とお父さん】