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『バスドライバー』






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『バスドライバー』


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 おれはタバコ片手に携帯で掲示板サイトをチェックしていた。ここはサービスエリアの喫煙コーナーだ。ただいま、十分間のトイレ休憩中。お客さんの何人かもまわりでタバコを吸っていた。
「おっ?」
 掲示板に、二十三時にこのサービスエリアで落ち合えないかとの書き込みがあった。今は二十三時二十分。チノパンにジージャンで短髪、髭、ワークブーツのがっちり体型の二十七歳、と書いてある。けっこうイケそう、なんて思っていると、すぐ目の前をジージャンの男が通りかかった。下はチノパンだし、短髪であごひげ生やしててかなりイケてる男。
 おれはまじまじとその男のことを見てしまった。男もおれの視線に気づいたように、ちらちらと振り返る。しかし男はそのまま歩き続けた。後を目で追うと、鳩ぽっぽ交通の高速バスに乗り込んでいく。うちのライバル会社のバスだ。男が乗り込むとバスはすぐに発車した。ちょっと長めの休憩が決まってて見込みで書き込んだのか、それともたまたま同じ格好の男とすれ違っただけなのか……?
 こういうの、面白いなあ。
 そろそろ時間だった。おれも自分のバスに戻った。運転席につくと、次々とお客さんが乗り込んでくる。そのうちの一人が、何か意味ありげな目でおれを見ていた。座席についてからも、ミラーごしにおれを見ている。四十くらいの、ちょっとスケベったらしい、オヤジっぽい雰囲気の男。なんだ? 知り合いだったかな?
 男女のカップルも戻ってきて、おれは乗客の数を数えた。その時になって、そのカップルがこの間、バスの中でキスしたりフェラチオしていた連中だと気がついた。
 バスを出すと、おれは車内の照明を少し暗めにした。とたんに、あのカップル、またキスを始めた。やれやれ。でもまたフェラチオされてる男の顔が見られるかも……。
 ついカップルのことが気になって、ちらちらミラーで客席を見ていたから気づいたことだった。さっきのオヤジっぽい男がいつのまにか座席を移動していた。乗り込んでからずっと眠りっぱなしの若いリーマンがいるのだが、その横に男は移っていた。今夜のバスは割とすいていて、全員、一人で二席使えるはずだ。つまり、並ぶ必要なんかないのだ。
「お?」
 その二つ前の座席では、女の顔が消えていた。男はまただらしなく口を開けて目をつぶっている。はじまった、と思ったその時、あの男の顔も消えていることに気づいた。
「うそだろ……」
 自分の勘違いかもしれない、とミラーごしに座席をくまなくチェックした。だけどあのオヤジっぽい男、やっぱり姿が見えない。ということは……。
 窓際の若いリーマンはまだ眠っている様子だった。だけどなんだかうなされているような様子なのだ。やがて顔をしかめて目を覚ました。リーマンは目をこすりこすり、自分の股間を見下ろして、顔をこわばらせた。
 おれはドキドキした。騒ぎになるかと身構えた。だけど、リーマン、声は出さずにまわりをきょろきょろと見回すだけだ。その時、オヤジ男が顔を上げた。とたんにリーマン、窓の方を向いて寝たふりを始めた。
 男はちらっとおれの方を見た。ニヤリと笑ったように見えた。だけどすぐに再びかがみこんでしまった。
 リーマンは薄目開いて自分のされていることを見下ろしていた。その表情からして絶対にノンケに違いない。だいたいこのリーマンとオヤジ男、バスに乗り込んできた時にはまるきり他人の様子だった。で、リーマンはすぐに寝てしまってずっとそのままだったのだ。ということはつまり、ノンケかお仲間かこのオヤジ男にだってわかるはずがない。なのに手を出したってことか。
「すげ、やるなあ……」
 ノンケリーマンはミラー越しにでもわかるくらい、顔を赤くしていた。唇噛んで快感にたえていた。その息づかいが伝わってきそうだった。おれは運転をおろそかにしないよう、やたら緊張した。それでも目が離せずにリーマンの身悶える様を覗いていた。やがてリーマンは体を震わせて顔をくしゃくしゃにした。イッたんだと見ていてわかった。

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 三十代男盛りの高速バスドライバー。
 恋男が欲しいと考えているが、休みも不定期だから出会いも少ない。
 が、出会い系即ヤリ掲示板を利用すると制服フェチの男たちから声をかけられて……。

 サービスエリアの茂みや大型トラックの中でさまざまな男と関係を持つ、バスドライバーの性的独白記。

 初出『ジーメン』。






これ書いて何カ月かして、続編を、と声をかけてもらって2を書きました。
なので今週分は『バスドライバー2』にする予定です。

たしかこの間に長距離バスの事故があって、運転手一人きりでの運行が規制されたり、
そんなことがあったような……。
2はそういうとこを反映させた内容になっていたはず。

明日読み返して予約配信の手続きする予定なのでちょっと自信がない……。

毎度のことですが、誌面でのタイトル、違っていたかもしれません。
すいません。




今年も一年ありがとうございました。
来年もよかったらお願いします。







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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューして28年目に入りました。かなり本格的なおじさんになっているはずなんですがピンとこない。と思っていたら鼻毛が飛び出していた! 耳の中もサワサワするから耳毛チェックしないと。スマホに接続して使える内視鏡みたいなやつを前に買ったの使って確かめないといけないとここ数日考えているんですが、面倒で放置しています。この怠惰な心こそがおじさんになったことを証明しているのかな。
ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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