Entries

『父と息子の性教育 パート2』








『父と息子の性教育 パート2』


   ★ ★ ★

 トイレに行こうと廊下に出ると風呂場の電気がついていた。小便をして戻ってくるところで、俺は思いきって脱衣場の戸を引いて服を脱いだ。風呂場に入ると義則が湯船につかっていて、汗をかいた顔で俺をにらんでくる。
「なんだよ親父、狭いだろ」
「邪険にするな、たまにはいいだろ。ほら、かわれ」
 ざっと股を流すと湯船につかった。義則は洗い場に出て体に泡をたてながら言う。 「母さんの命日でさびしくなった?」
「ま、そういうことだ」
「やけに素直じゃんか」
「うるさい」
 義則はクスリと笑って頭を洗い出した。全身泡だらけなのをシャワーで流して、また湯につかる。入れ替わりに俺が洗い場に出て、ナイロンタオルに石けんをこすりつけた。義則が湯船の縁に太い腕をのせ、赤い顔をして言った。
「親父もいいかげん、新しい奥さんもらったら? もう三回忌も済んでさ、母さんだって怒らないよ」
「そうかなあ」
「まだまだ枯れる年でもないだろ。いつまでも一人でシコシコってのも情けない」  俺は頭を洗っている最中だった。泡の間から義則をにらみつけた。
「お前、父親に向かってなんてこと言うんだ」
「親父のために言ってんだよ」
 泡が顔に垂れてきた。俺は目をつぶってゴシゴシやって頭から湯をかぶる。義則は小さい頃からやさしい性格で、本当に俺を思って言ってくれているとはわかっていた。
 義則が独り言のように言った。
「ま、女がいたってシコシコするのが男だから、シコシコは関係ないか」
 俺は顔を手で何度もこすってから義則を見た。
「お前、彼女がいるのに自分でもするのか」
「当たり前だろ、まだ若いんだぜ」
「そりゃそうか」
「親父だって母さんが生きてた頃だって自分でしてたろ?」
「俺は母さん一筋だった」
「じゃあ、ムラムラしたら必ず母さんと……」
「お前なあ」
「いいじゃんか、べつに。どうせ二人きりの家族なんだし」
 そう言われると、たしかにもう親子だからと照れる年でもないかと思い直した。 「母さんはいやらしい女じゃなかった。それでも俺に付き合ってくれたが、それもまあ、そう多くはなかったな」
「じゃあ、どうしてたの?」
「どうもしないさ。我慢するってだけで」
「だって出したいじゃんか。なのにシコシコもしなかったの?」
「母さんに対する裏切りと思ったのもあったなあ。そりゃ、せつなかったさ」
「もしかして親父、夢精とかしてたんじゃねえの?」

   ★ ★ ★



 『父と息子の性教育』B00VKE5I9I の続編となります。

 今回の主人公親子は、『父と息子の性教育』で脇役として登場した、山さんとその息子です。

 『父と息子の性教育』よりももう一歩踏み込んだ内容になっています。ただし、こちらも教育的な内容にとどめております。
 また、『父と息子の性教育』から5年後のお話になっておりますので、そこらへんのこともご注意くださいませ。







『父と息子の性教育』を配信した時点では
続編とか考えてなかったんですが、
読んでいただいた方がツイッターで
続編を希望されている雰囲気のつぶやきをされていて、

あー、どうかな、書けるかな……、
書けそう!

となりまして。


で、プロットを作っている時点で、
長くなりそうだったので
続き物にしてしまいました。




他にも書き下ろしでやってみたいネタは
いろいろあるんですが、
ジーメンでの連載があるので、
しばらくはこみ入ったものは書けそうにないかも。

というより、こみ入ったものは
当然、時間も労力もずっといるので、
雑誌にのせてもらいたい。
(多くの人に読んでもらいたい、お金にしたいという意味で)

Kindleでも、
こみ入ったものを書くとそれだけ売れる、お金になる、
ということならいいんですけどね……。

どちらかというと、
こみ入っていないものが求められている気がする……。
さくっと読めて、さくっと抜ける、みたいな。

その点、雑誌の読者さまとちょっと違うんでしょうか。

雑誌の読者さまは、もちろんエロいかどうかが
最重要視点ではあると思うのですが、
その次に、ドラマ性とかエンターテイメント性とか
読み応えのあるものを求めているような……。

って、そういう分け方って、すでに見方がふるい気もしますが……。
どうなんでしょうね。

話を戻すと、さくっと読めるものがさくっと書けるかというと、
ちょっとちがうんですよね。
Kindleだと誌面が限られていないので、
自然と長引いてしまうから。
好きなように書けるだけ、どんどん長くなっていく。





父の認知症がこの1、2週間でグッと進んでしまいました。

ツイッターにも書いたんですが、
「証券会社に何億円か配当金が貯まってるはずだ」
と言い出したり。
「そんなお金があったら会社の借金返してこのぼろ屋も建て直してるよ」
と言い返すと、
「それはわかるけど、確認したいから証券会社の電話番号調べといて」
とかたくなに繰り返したり。

まあ、後から思い返すとそうたいしたことじゃないんだけど、
その場では母と二人、イライラしちゃうという。

どうもまだ、父がもはや昔の父でない、ということを
僕も母も自分で認められていないみたいです。

「この人はもう惚けているんだからしかたない」
という認識がしっかりしていれば
父のへんてこな物言いに気持ちが取り乱されたりはしないはず。


なんにしても、
暴言を吐いたり暴れたり、
そういう惚け方はしないで欲しいなあ。



スポンサーサイト

コメント

[C20]

山さんサイド、てっきり『相談受けた山さんがムラムラしてしまい夜にこっそりソロ活動』程度を想像してたらガッツリハードでとてもお得感がありました
つぶやいてよかった!

うちの父もかなり進んでしまってまして、わかっちゃいるのですが『お父さんはもう変わっちゃったんだ』って、変な言い方ですが、一段下に見ないと優しくなれないものですよね
わかっちゃいるけど、そこが出来ずに同じくイライラしております

kindle分、全部読み終わっちゃったので続編を楽しみに待たせていただいております~
  • 2015-05-11 14:14
  • ベーコンヌ
  • URL
  • 編集

[C21] Re: タイトルなし

こちらこそヒントをいただけてありがたいです。
続き、来月にたぶん配信します。
楽しいシリーズにしていきたいな〜、と言いながらどう転ぶかわかりませんが。

Kindle全部って! 本当に本当に感謝です!
散財させてしまいましたね。
ありがたや。

父のこと、ほんとそうですね。
ほどよくあしらえるようにならねば……。

お犬さまの介護もお疲れ様です。
  • 2015-05-12 00:48
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

[C22] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

[C23] Re: おはようございます

お返事おそくなってすいません。返事したつもりになってました……。
穴極道、嗅ぐ極道に関してはいつになるか言えませんが続編書く予定でいます。
普通に続きの話にはならないとは思いますが。
その時はぜひよろしくお願いします!
また父のことありがとうございます。
  • 2015-05-28 20:22
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

[C24] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

[C29] Re: こんにちは

冷静さを保つのがポイントですよね。
後になれば、なんでさっきあんなにイライラしたんだろう?と不思議に思う程度のことでも、その時はなかなか……。

嗅ぐ極道はKindleでの配信は今のところできそうもありません。
すいません。
よそでも配信していない様子……。
なんででしょう、不思議。
  • 2015-06-02 23:07
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

[C30] 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

[C31] Re: こんにちは

ありがとうございます! 極道シリーズ、意外に引きがあるようなのでできたら今年中には続編考えますね。約束はできないのですが……。
営業部の男たち、なんかそんなタイトルはあったような、そんな気もするのですが……。
すいません、忘れっぽくて。本当にありがとうございます!
  • 2015-06-06 17:36
  • osamukodama
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR