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『掃除のオヤジ』と『弁護士隈吉源三③&④』と予告





アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。


『掃除のオヤジ』


   ★★★★★

 健二は週に一度か二度はおれのアパートにやってきて、メシを作ったり掃除をしていくようになった。もちろん必ずスケベなこともした。
 毎日が楽しくなった。おれはデレデレになった。
 とくにスケベなことをした後、二人でくっつきながらテレビを見ている時が最高に幸せだった。健二とおれとじゃ見る番組がまるで違っていたが、それは健二にあわせた。健二はクイズ番組を好んで見た。おれはそういうのは見ていてもちっとも答えがわからないから面白くないのだ。だけど健二はうれしそうに一問一問答えを言った。それがだいたいあってるからすごい。
「頭いいんだなあ」
 そう言って、おれは健二を背中から抱え込み、出来のいい頭にキスをした。健二はクスクスと笑う。
「普通だよ」
「おれはひとつもわかんないぞ」
「こんなことわかったって、どうってことない。大事なことはひとつも出てこないじゃないか」
 健二はいつもやさしかった。おれはヌクヌクとした気持ちを味わった。
 ある非番の夜、おれは一人で酒を飲んでいた。その前の夜にきたばかりだったから、今夜は健二に会えない。呼び出してやろうかな、とも思ったが、あんまりしつこくすると長続きしないかもな、と思って我慢していた。
 一杯飲み屋で引っかけていたのだ。健二のことを誰かに自慢したい気分だったが、男街に行くつもりはなかった。酔っぱらって若い奴に声でもかけたらまずいからだ。いちおうこれでも健二にみさおを立てているつもりだった。
 電話がかかってきた。会社の番号だった。嫌な予感がしたが、出ないわけにもいかない。
「なんだ?」
『急遽、人手が足りなくなったんですよ。入ってくれませんかね?』
「おれ、もう飲んじゃってるからなあ」
『どのくらい? 働ける程度なら、行って欲しいんだけど』
 結局、引き受けた。臨時収入で健二と焼き肉でも食いに行くかなと考えたのだ。しかし失敗だった。集合場所に出向くと、いつもの半分程度しか人が集まっていなかった。角田もいない。現場はいつものオフィスビルだ。なのに今日は人手が足りないから、大きなフロアを一人でやれと言われた
 三階のオフィスに入って掃除機の準備をしていた時だった。前にも何度か見かけた残業男がいた。メガネかけた、いかにもインテリっぽい三十前後の若い奴だ。それでも今夜は盗み見してるひまもなく、忙しく掃除していたら、いきなり話しかけられた。
「今夜は一人?」
 思っていたよりずっと低い声だった。若いのに、なかなか渋いいい声だ。
「あの、はい、一人です。人が集まらなくて」
「オヤジさんのことさ、前にあそこで見かけたことあるんだよね」
 意味ありげな目で、ちょっと笑いながら言うのだ。おれでも、あそこがどこなのかくらい、ピンときた。
「よく若い子に声かけてるだろ、オヤジさん?」
 間違いなかった。こいつもお仲間だったのか。おれはびっくりして、ちょっとどもりながら答えた。
「あ、あっちで気づいたなら、声かけてくれりゃいいのに」
「俺みたいのはもう興味ないのかなと思ってさ。若くないだろ」
「そんなことない、若いさ、まだまだ」
 するとまんぞらでもなさそうに笑ったのだ。老け専かもな、こいつ……。
「オヤジさんみたいな仕事、きついだろ?」
 やさしい言葉におれはニヤニヤしてしまう。
「あんただってよく残業してるじゃないか」
「俺は残業代たっぷりもらってるからいいけど、オヤジさんはそうじゃないだろ」
「まあなあ」
「こんな深夜の仕事なのに、月二十万がせいぜいか?」
「え、ああ、そうだな、そのくらいかな」
「へえ」
 同情してるつもりなのかもしれなかった。だけどおれを「下」と思ってるのははっきり伝わってきた。そういうのにおれは慣れてるが、その後の言葉には驚いた。
「オヤジさん、どうせ俺のがしゃぶりたいんだろ?」
「あ……」
「いつも俺のことちらちら見てただろ? 掃除に身が入ってなかったよな」
 十五は年下のはずだ。いくら掃除屋のオヤジ相手とはいえ、ここまでバカにした口調で言うのも珍しい。頭にきてもおかしくなかった。なのにおれはちょっとゾクゾクきていた。このメガネ男に見据えられると、なぜだか目を伏せてしまうのだ。おれはオドオドしていた。
「あの、おれは、」
「どうせ俺のこと見ながらスケベなこと考えてたんだろ? 違う?」
 おれはうんうんうなずいてしまっていた。メガネはニヤッと笑って椅子を回し、おれに向かって股を広げて見せた。そしてスラックスのチャックを下げて半勃ちのちんぽを引っ張り出した。おれは言われる前から床にひざまずき、にじり寄った。
「これ、しゃぶりたいか?」

   ★★★★★


 四十代終わりの若専オヤジが主人公。誰かと真剣に付き合おうという気持ちはなく、たまに若い男のちんぽをしゃぶったり、ケツに入れてもらえれば御の字と考えている。夜の街で酒を飲んでは酔っ払い、道ばたにいる若い連中にちょっかいを出してまわるのが楽しくて……。
 そんなオヤジと付き合いたいと言い出す若い男があらわれるが……。

 いかつい、しかしM気のあるオヤジ好きな方向けのゲイ官能小説。

 初出『ジーメン』(もしかしたら『SM-Z』だったかも)。








[小玉オサム文庫] の【弁護士隈吉源三(3)&(4)】


こちらはデジケットさまで配信はじまっております。

『弁護士隈吉源三③&④』


弁護士隈吉源三(3)


三十三歳の新米弁護士隈吉源三は同僚の男前弁護士高山雄治とすっかり恋人同士となっていた。まだまだ男同士の恋というものに不慣れな隈吉だが、その素朴な風貌と人柄から男好きの男たちの気を引いてしまう。二人は依頼を受け、温泉地の山中にある老人病院を訪れる。そこは年の割に妙に若々しい老人たちばかりそろう、異様な雰囲気漂う場所だった。

『弁護士 隈吉源三』シリーズ第三弾。

初出『サムソン』。

前編、後編と二ヶ月に分けて掲載されたものを一つにまとめました。



弁護士隈吉源三(4)


元医者で弁護士の隈吉は同僚で恋人の高山と旅に出る。弁護士生活二年目を迎え初めての二人きりの休暇だが、それは隈吉、高山、それぞれのつらい過去を互いに打ち明けるための、特別な冬の旅だった。

『弁護士 隈吉源三』シリーズ第四弾。

初出『サムソン』。

前編、中編、後編と三ヶ月に分けて掲載されたものを一つにまとめました。



『弁護士隈吉源三③&④』はKindleですでに配信済みのものをまとめたものです。
ご注意ください。








デジケットさまでの配信、
だいたい4本か5本をまとめた作品集を、毎月、月のはじめに、
という形で配信しているんですが、
考えてみたら、月に一度のペースでは永遠にKindleでの配信に追いつかない。

なので今月から、毎月、月の半ばにも配信できたらなと考えております。

今のままだと、11月まで隈吉しか配信できないということになるし。


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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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