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『痴漢してやる!』と『若い背中』





アマゾンKindleストアにて配信始まりました。


『痴漢してやる!』

   ★★★★★

 またもや帰りが終電になってしまった。飲んで遅くなったとかじゃなく、残業を片付けるのに手間取ったからだ。ぐったりしながら揺れにあわせて踏ん張っていると、すごくかわいい子が目の前に立っていることに気がついた。たぶんまだ学生の、ぴちぴちに若い奴。
 こういう奴こそいたずらしてやりたい。
 今夜は酒も入っていないのだ。なのにおれは強烈な欲望を感じていた。こういう、自分が男に求められるということ自体、考えたこともない若い男を、有無を言わせず触りまくりたい。嫌がっている相手を強引に感じさせたい……。
 だけどおれにも理性はある。そうそううまいこといくわけがないのだ。この間の痴漢の後、何度か混雑した電車の中で試そうとした。手の甲でケツとか股間を触るとこから始めようとしたのだ。だが、ビクッと激しく反応して体をよけられたり、手をどけろと言いたげな目でにらまれたり、あからさまに咳払いされたりして、あわてて手を引っ込めるというパターンの連続だった。
 いくら強引にしたいと思っていても、本当に強引にして殴られたり、つかまるのはゴメンだ。そうなるとそうそう成功するものじゃない。なにしろ相手は男なのだ。痴漢されて声も出せない女の子ってわけじゃないのだ。
 何かいい方法はないかなあ……?
 でもとにかく、試すだけは試さないとはじまらない。おれは目の前のぴちぴちの学生さんのケツにそっと手の甲を押しつけた。すると、ちょっと触ったとたんにヒクッと体を震わせた。それが、ただ迷惑そうな震え方とはまた違っていた。あれ、お仲間? でも、なんだかそんな感じでもない……。
 そこで気づいたのだ。彼の向こう側に、横を向いて立つ年輩の男がいるのだが、どこかで見覚えがあった。思わずじっと見てしまっていると、向こうも横目でちらっと見て、ニヤッと笑って見せた。ロマンスグレーの渋い感じなのに、スケベな笑い方するおっさんだった。
 あ、こないだ痴漢した時にそばにいた……。
 不思議と予感があったのだ。電車が大きく揺れた時、おれはさりげなく立ち位置を変えて、学生さんの前を覗き込んだ。そこにはすでに、そのロマンスグレーの年輩男の手がそえられていた。
 おれは息を飲んで学生さんの顔を見据えた。向こうは目をあわせようともしない。オドオドしていた。その様子からして、やっぱりノンケだとわかった。たとえ経験のない奴だったとしても、ホモだったらこんな感じにはならない。
 こいつ、本気でビビッてる……?
 ノンケだったら当然だ。なにしろ自分の親くらい年上のオヤジにちんぽ触られてるとこに、もう一人、ケツまで撫でてくる痴漢があらわれたのだから。
 さすがに、いいのかな?と思った。酒が入ってないから理性も働いて、こんなことしちゃまずいとも思った。こんな若い、なんにも知らないような奴なんだから、たすけてやるべきかも、とも。
 しかしロマンスグレーはおれと目をあわせながらうなずいてみせたのだ。それは明らかに、一緒にどうぞ、という意味だった。
 マジで?
 でも、こんなウブそうな奴を二人がかりでなんて、このオヤジ、鬼畜だ。
「あ」
 いろいろ考えてはいたのだ。悩んでいた。なのに手が勝手に動いていた。決心がまだつかないのに、おれの手は学生さんのケツを撫で上げて、谷間に指を這わせていた。むっちりした肉を割って穴とおぼしき場所をこすりあげてやると、学生さん、かわいい顔を情けない感じに歪ませてみせた。
 この顔、そそる……。
 おれはゾクゾクしていた。今まで感じたことのない興奮で全身に鳥肌がたった。やっぱりそうだ、とおれは自分に確認していた。やっぱりこういうことがしたかったのだ!

   ★★★★★




 ノンケ男に痴漢したい願望のあったゲイの男。それでも理性を働かせて、ほんとにはできないと思い込んでいた。
 しかし恋人にフラれ、ひどく酔った夜に勢いに任せて手をのばしてしまう……。

 同じ男に求められるなどと考えたこともない、ビビったノンケ男たちに好き放題するお話です。

 ゲイ官能小説。
 初出『ジーメン』(『SM-Z』だったかもしれません)。


 原稿用紙にして112枚の大ボリューム痴漢小説。
















ゲイ雑誌Badi(バディ) 2017年9月号 に僕の小説が掲載されています。

タイトルは『若い背中』。

挿絵は晃次郎先生です。


兄貴系リーマンが年下のムキムキ解体業者とデキるんだけど実は……。
エロ&ドラマチック&ロマンチックなお話。









予告。

来月のコミックマーケットでケモノ小説の第三弾が出る予定です。
くわしくはまた。





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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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