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『酔っ払いの独り言 中編(全三話)』と『俺の教育実習 小玉オサム作品集⑥』





アマゾンkindleストアにて配信はじまりました。


『酔っ払いの独り言 中編(全三話)』



   ★ ★ ★

 出会って二週間がたった頃、夕方になってベルが鳴った。玄関を開けると、スーツ姿の若い男が立っていた。いつものラフなイメージとはかけ離れていて、私はうろたえてしまった。孫にも衣装というか、実に似合っているのだ。
「おっ……、よくきたな、どうしたそんな格好で」
「今日はジムに行く気がしなかったんだ」
「とにかく入れ」
 一見して、おそろしく高級なスーツだとわかった。商社マンとはいえ、入社してせいぜい一、二年の下っ端が着られるものじゃない。入社祝いでもらったとっておきを見せようと選んできたのか。そんなところだろう。しかしこの汚い部屋の中では、いつ汚しちまうかわかったものじゃない。
「おいお前、なにか着替えは持ってないのか」
「なんで?」
「その格好じゃくつろげんだろ、そうだ、少し荷物持ってこい、不便だろ、着替えもなしでここにくるのは」
「今からかよ?」
「今度ってことだ。うーん、今日のとこは俺の着とくか」
「でもおじさんのじゃデカすぎるよ」
「着てみなきゃわからんだろうが。お前だって背はあるんだから……」
 私はとっておきのワードローブを披露してやった。と言っても、実のところ、なんのことはない、今の私にはもう小さくて着られなくなったズボンやシャツだ。その中からこいつに似合いそうなのを見繕って放ってやった。彼はなんの照れも見せずに私の目の前で裸になり、見事な肉体を見せつけながら私の服を着た。着ている最中から、顔を見合わせてゲラゲラ笑いだしてしまった。まるで子供が親の寝間着を羽織ったようにブカブカなのだ。
 私は頭をかいた。
「ダメだなこりゃ」
「いいよ、オレはこれで。ひとに見られるわけじゃないし」
「ま、それもそうか」
「でも、いいのかよ、ほんとに」
「なにがだ?」
「オレの荷物なんか持ち込んで」
「まあ、男二人で住むには狭いがな、多少不便になる程度だろ」
「そうじゃなくてさ……、迷惑じゃないのかよ、オレなんかと」
 彼はうつむいて、上目遣いにちらちらと私を見た。その目は驚くほど素直に「不安」をあらわにしていた。いつもの生意気な口振りや傲岸な態度とは裏腹に、私に嫌われるんじゃないかと怯えているのか。いろいろとつっぱって生きてるんじゃないかとは思っていた。だが、それどころの話ではないのかもしれない。こいつは、自分が取るに足りない人間だと感じているのかもしれない。こいつは、自分には愛される価値がないと感じているのかもしれない。いや、こいつは、ではなく、こいつも、だ……。
 胸が痛かった。私はダボダボのシャツをまとった彼を抱いてやった。今までで一番素直に抱かれてくれた。

   ★ ★ ★


 未完成原稿とともに若い売り専男が戻ってきた。
 話を聞くと、夜は売り専をやりながら、昼は有名な商社で働いているのだという。
 作家の竹田はこの得体の知れない若い男と付き合うようになるが……。


 初出『ジーメン』
  
 全三話のうちの第二話。

 ゲイ官能小説。








[小玉オサム文庫] の【俺の教育実習】


デジケット様にて配信はじまりました。


『俺の教育実習 小玉オサム作品集⑥』

★ ★ ★

「次はいつ会えるんだ?」
先輩はうつむいて、今度は自分のち○ぽとケツの始末をつけながら言った。
「実習おわるまで、ずっと会えないのかよ?」
俺は先輩のことを見ていた。毎度のことながら、ケツをふく仕草がユーモラスで、いやらしい。俺はニヤニヤしながら言った。
「二週間、おあずけッスね」
「本気か、それ?」
先輩はしょぼくれた顔をして、俺に抱きついてきた。百八十の巨体だから、百七十五×七十八の俺をすっぽり抱きすくめてしまう。
「二週間なんて、さびしいぞ。なあ、夜はあいてるんだろ?」
「ダメですよ、朝早いし、放課後もクラブ活動見させてもらうって決めてるんですから。先輩のこと犯ってたら体がもちませんよ」
「べつに毎晩犯ってくれってわけじゃないんだぞ。会うだけだって、おれ、うれしいし」
「でも会えばそういうことになるでしょ? 俺だって、先輩と会ったら、たまんなくなるだろうし」
「ヤスヒロ……」

★ ★ ★


体育大学のサッカー部に所属する主人公が教育実習のため学校に戻る。担当体育教師はガチムチの中年男で、柔道部の顧問をしている。柔道部員の森田はちょっと不良っぽくて主人公に反則技をかけてくるが、実は隠された想いがあって……。

初出『バディ』。たしかこの小説が『バディ』でのデビュー作だったと思います。原稿用紙換算で79枚の中編。




『不倫同士』

★ ★ ★

「んっ……、う」
キスしてきながら、寛太は俺のケツを撫で回し、谷間に指をすべらせてくる。そのごつい指先で肛門を探られると、俺は反射的に体を震わせてしまう。それを面白がっているのか、寛太はいつもことに及ぶ前、しつこく俺の肛門を指先でこすりあげてくる。
昔からこういう関係が多かった。年下の男に好かれる。年上の男と付き合ったのは一度きりだ。どちらにせよ、たいていは自分が抱かれる側になってしまう。吉尾さんだけははじめからなにかが違ったのだ。あの人は俺と同年代で、俺より体のでかい男なのに、自然と俺がリードする形になった。まだ車やトイレでしか関係を持ったことがないから、吉尾さんが後ろまで犯らせるのかよくわからない。しかしあの大男を自分が貫いたらどんな感じになるのか、と考えると興奮してくる。
「ひっ、あっ、……ゆっくりしてくれ」
寛太が俺のスウェットを下ろし、ローションのつけた指を股の間に差し入れていた。俺は壁に手をつき、いくぶんがに股の格好になって、顔を熱くしていた。すぐ横に寛太が立って、俺の腰の辺りにかたくなったところを押しつける。俺はせつない気持ちでそれをわしづかみにする。
今、寛太にされているようなことを、そのままあの男にしてやりたい。
罪深いことばかり頭に浮かんでいた。吉尾さんの後ろに指を入れて、震えるところをじっくりと見てやりたいと想像していた。寛太の指にいたぶられている最中だというのに、吉尾さんのことを考えて興奮していた。

★ ★ ★

長く続いた男同士のカップルが二組。
それぞれ犬を飼い、幸せに暮らしていて、「家族ぐるみの付き合い」を続けている。
なんの不満もない。なのに後の二人に秘密の不倫関係を持っている。
その罪深さから、男たちの性は燃え上がって……。

25周年記念作品。




『しこり』

バツイチの中年男が二丁目のコンビニで若い男と出会い、付き合いはじめる。
二人の関係は順調に進んでいくが、中年男は口内炎に悩んでいる。若い男との交際がうまくいくほどに、それは大きくなり、しこりとなって主人公を悩ませる。
別れた妻と妻に引き取られた息子とは穏やかな関係を続けているし、出会ったばかりの若い彼とのデートは愉しい。案外、うまくいっている人生と思っていたが、口の中のデキモノはどんどん大きくなってきて……。

初出『サムソン』。
映画で言えば大画面でど迫力とか濃厚な大河ドラマ的なものではなく、単館上映作品って雰囲気です。静かで穏やかな読み切り中年クライシス小説。



三作すべてkindleで前から配信しているものと同内容です。










ひとによるんでしょうけど、僕の場合は頑張るとダメですね。
いつもより頑張って原稿書きすると、その後が使い物にならなくなる。
短い時間にさっと集中して、すぐにやめた方が効率的。
そもそも結果は頑張ったかどうかじゃ決まらないし。
頑張れば必ず結果に結びつく、なんてこと、普通ないもんね。
むしろ、すごく頑張らないと書けない内容って、
向いてないってことのように思える。
そして当然ながら、頑張る頑張らない、内容に満足不満足、
ってことと、読まれるかどうかはまったく別の話だし……。

と、なぜこんなこと言い出したのかというと、
さっきツイッター見てたら、
年収500万と2000万ではここが違う!
みたいな記事が紹介されてたんですよ。

なんか意識の差というか、
たとえばセミナーに参加する頻度とか、
勉強する時間とか、
500万の人と2000万の人ではこんな風にちがう、
と数字で説明されているの。

中身を見ない段階で、
そもそも500万ってすでに成功してるひとじゃないの?
と思ったんだけど、
やはり500万の人もセミナーに参加したり勉強したりしてるのね……。

世の中のひとたちって、みんな勉強したりセミナー受けたりしてるんですかね?
ちょっと信じられないんだけど。
マジで?

生涯勉強、なんて言って実践してるひとってすげえな~、
と素直に思うけど、
みんなそうなの?
そんなわけないよね。

まあ、もしみんなそうだとしても、僕は無理だなあ。
学校出た後は勉強もなにもしたことないような……。

何事も頑張るの苦手。
なんでもほどほどにしたい。
だって頑張るために生きてるわけじゃないし……。
じゃあなんのために生きてるんだと聞かれたら、
なんとなく生きてるだけです
としかこたえられないけど。
なんかごめんなさい……。

でもね、何事も目一杯努力しなくちゃいけない、とか
ギリギリまで頑張るべき、とか
そういうこと言うひとに言いたいんだけど、

みんながみんなあなたみたいにすんごく努力しはじめたら、
あなたは今いる場所から追い落とされることになるはずなんだけど、
それでいいの?

だってあなたのすぐ下あたりにそこまで頑張ってないひといるでしょ?
そのひとたちがすんごく努力しはじめたら、あなたみたいにギリギリ頑張って
やっとそこまで上がったひとなんか蹴落とされちゃうよ?
あんまり頑張らないひとたちのおかげで今のあなたは今の場所にたどり着けたのだ。
感謝すべきなのではないか……。
(なにが言いたかったのかもうわからなくなった)





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プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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