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『夫同士 中編(全三話)』と『父と息子の性教育 全五話』








アマゾンKindleストアにて配信はじまりした。


『夫同士 中編(全三話)』



   ★ ★ ★

 ノックをすると待ちかまえていたようにドアが開いた。厚木さんは私の顔を一瞬凝視して、部屋の中へと身を引いた。ベッドは一つだが立派なソファセットのあるアポイントメント用の部屋のようだ。しかしそうは言っても現にベッドはあり、それもダブルベッドが一つしかないのだ。不意に、密会、という言葉が頭に浮かんだ。
 厚木さんは窓辺に立ちつくしていた。紺のクラシックなスーツをきちんと着込み、ネクタイもまっすぐ、頭もポマードでなでつけている。精一杯身綺麗にしたつもりなのだろう。案外、普段のラフな、男臭い自分に自信がないのかもしれない。
 私はドアに鍵をかけ、チェーンロックもつけた。すると厚木さんはパンと手を合わせ、無理に顔を笑わせて言った。
「とりあえず、コーヒーでも頼みますか。このホテルは飲み物も食い物もなかなかいいんだ。うちの会社じゃよく使ってる。ブラックでいいだろ?」
 厚木さんは私の横をすり抜けて、ベッドの枕元にある電話をとろうとした。私は何を言うべきか、なすべきかわからなかった。しかし体は反射的に動いて、厚木さんの腕をつかみ、口も勝手に動き出した。
「はっきり言ってくれ」
 厚木さんは目を細めて私の顔を振り返った。その顔を見て、自覚して口をきくことができた。
「我々は何をしようとしてるんだ? 私の考えてることと、厚木さんの考えてることは一緒だろう? それともこれは、仕事上の会議なのか?」
 厚木さんは顔を背けた。だが、そっと私の腕を握り返してきた。
「この間のパーティで、吉岡さん、あんたは一番前で俺のことを見てた」
「ああ」
「あんた……、勃ってたろ? 俺を見て、おっ勃ってた、そうだろ? 見えてたんだ、あんたが俺のことをよく見えてたように、俺だってあんたのことが見えてた」
「だからどうしたって言うんだ?」
「だから?」
「そうだ、私も熱くなってた、その通りだ、だからどうしたって言うんだ? 厚木さん、あなたはどうしたいんだ?」
 ほんの数秒か、それとも何分か経ったのかもしれない。とにかく私たちは無言で見つめ合っていた。厚木さんに発した問いはそのまま自分への問いだった。お前はどうしたいのか? しばらくして、厚木さんが静かな声で言った。
「吉岡さん、俺はあんたが欲しいんだ……」
 錯覚じゃなかった。私は目を見開いた。そして、……うなずいた。
 私たちはどちらともなくベッドに目をやった。ゆっくりと、腕を触れ合ったままベッドに二人並んで横たわる。私は厚木さんの顔を見つめていた。ヒゲの剃り跡濃い、男の顔を。厚木さんは唇を引き結び、目をそらす。思わず抱き寄せた。

   ★ ★ ★



 倦怠期を迎えた中年の夫婦。
 偶然誘われた夫婦交換の乱交パーティに参加し、そこで出会った自分たちと似たような夫婦と親しくなる。
 夫同士は仕事での付き合いもあることがわかり、ぎこちなくも、この年になって性の冒険へ乗り出した自らをさらけ出していく。そしてついに男二人でホテルをとり、密会を重ねるように……。


 ゲイ官能小説。

 初出『ジーメン』。三回連載だったものの二話目。











[小玉オサム文庫] の【父と息子の性教育 全五話】


デジケット様にて配信はじまりました。

『父と息子の性教育 全五話』


★ ★ ★

「やろうとしたけど、出なかった」
「普通にやったんだろ?」
「普通ってなに?」
「だからその……、友だちとはそういうこと話さないのか」
「友だちがしてるって話は聞いてるけど、自分じゃ話せないよ、恥ずかしいじゃんか」
こんなことを父親に話すなんてやっぱりおかしかったのかもしれない。自分がとても悪いことをしている気がしていた。
「とにかく、父さんに話してくれてよかった」
父さんがまっすぐ僕の顔を見つめていた。怒ってる感じじゃない。
「え?」
「父さんうれしいぞ」
「なに言ってんの?」
よくわからなかった。だけど、父さんがすごく気を遣ってくれているのはなんとなく伝わってきた。
「このこと、母さんには言わないでよ」
「わかってるって」
「信用していい?」
「もちろんだ。男同士の話だしな」
父さんは真面目な顔でうなずいていた。話してよかったと僕は思った。急に、父さんがすごくたのもしく見えてきた。味方になってくれたという感じがする。
だから思い切って言ってみたのだ。
「ねえ、父さんはちゃんと出るんだよね。……出すところ見せてくんない?」

★ ★ ★


お父さんにしか話せない息子の悩み。そして、年頃の息子を持つ父親の苦悩。
父と息子の性教育はどこに向かうのか……。



精通がこないと年頃の息子に相談され、苦悩する父親、鈴木。
息子のためと思い、せんずりのかき方を教えることになるが、かいてるところを見せても、かかせても息子がイカず、ついに父の手で息子に手ほどきをすることに……。(パート(1))

鈴木の同僚である山本もまた、実の息子から性の悩みを聞かされる。
息子は彼女もいて体の関係もあるらしいが、息子の性欲があまりにも強すぎて彼女一人では物足りないのだという。山本自身も妻を亡くして以来、女もつくらずせんずりもかかずの禁欲生活で、中年期にありながら夢精をくりかえしていた……。(パート(2))


二組の父と息子の物語。
性急に求める息子たちと戸惑いっぱなしの父親二人。
紆余曲折ありますが、はたして……。


アマゾンKindleストアにて書き下ろした、全五話のゲイ官能小説を一冊にまとめてあります。




★ ★ ★

親父は口の中に出しても嫌がらなくなった。(パート(4)より)

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父と息子で手コキ、キス、フェラ、アナルといろいろやりますが、親子の信頼と愛が全編を貫いてます。いたって真面目な男たちの物語。








『BRUNO』のことはまた後日。





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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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