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『幼なじみ』とけもケットと漢祭第二号








アマゾンKindleストアで配信はじまりました。


『幼なじみ』


   ★ ★ ★

「あのな、実はその、……おっかあが孕まんのだ」
 竹中は中村から目をそらした。照れくさそうにいくぶん頬を赤らめている。中村が言った。
「だけどお前、結婚してまだ半年だろ?」
「おれもそう言ったさ。だけど……」
「婿入れたからにゃ、一日もはやく跡継ぎがほしいってか?」
「そういうことだ」
「ま、わからんでもないな。でも問題がお前にあるとはかぎらんのだからな」
「わかってる。おれがまともだったら、おっかぁがくることになってる」
「よし、じゃあ、調べてみるか」
「たのむよ」
 竹中はペコリと頭を下げると、さっさと上着を脱ぎ、シャツの前をはだけた。大柄な身の丈に見合った、たくましい胸板があらわになる。肌は健康的な桃色で、年の割に肌目がこまかく、染みや体毛も目立たない。中村は笑って言った。
「おいおい、胸なんか診ねえよ。だけどお前、女みたいな肌してるなあ」
 中村は立ち上がって、スチール棚からプラスチックの試験管を取り出した。それを、胸をはだけたままの竹中に手渡す。
「便所に行って、これに入れてこい」
「え、あ、小便だな?」
「バカ。精液だよ」
「せ、精液?」
「それ調べなきゃ、お前に子種がちゃんとあるかどうか、わかんねえだろが」
「そりゃそうか。でも出るかな」
「はやくしてくれよ。もうすぐ往診の時間だからな。便所はあのドアだ」
「わ、わかった」
 竹中はあいかわらず胸をはだけたまま立ち上がると、大柄な体に似合わず、そそくさと歩いて便所に入った。中村は白衣の前をただしてから、野太い声を出した。
「次の人どうぞ」


 それから十五分後に、最後の患者が帰った。中村が便所に向かって声をかけようとすると、看護婦が診察室に顔を出した。
「先生、もう帰ってもいいかしら? 雨が降りそうなんですよ。洗濯物干しっぱなしだし……」
「いいよ、後は俺がやっとく」
「すいません、じゃあ先に失礼します」
「おつかれさん」
 看護婦を見送ると、中村は椅子から立ちあがって大きく伸びをした。そしてツカツカと便所に歩み寄り、ドアノブに手をかけた。鍵がかかってるとわかっていて、脅かしてやろうとノブをガチャガチャやると、ドアは思い切りよく開いてしまった。
「お、おいっ!」
 竹中は胸をはだけズボンを膝までおろした格好で、便器の上に腰掛けていた。右手にナニを握り、左手でそれをあわてて隠す。
「いきなりなんだよ?」
「すまん。開けるつもりなかったんだ。だけどお前遅いから」
「おれはいつも遅いんだよ。あー、あと少しだったのに、ほら、萎えてきちゃったじゃないか……」
 竹中はやわらかくなりかけたモノをちらっと中村に見せると、立ち上がった。そしてズボンを引き上げようとした。
「やっぱりここじゃダメだ。せんずりなんか普段やらないからよ。家帰って、抜いてきていいか?」
「それでもいいけどよ、俺はこの後往診に出ちまうしなあ」
「じゃあ、夜にでも持ってくるよ」
「それじゃ精子が死んぢまう。検査にまわしても正確な結果が出ないかもしれん。……しかたねえな」
 そう言って、中村は竹中の股間に手を伸ばした。竹中はとっさに腰を引いた。
「な、なんだよ?」
「ひとにやってもらったほうがはやく出るだろが? 前にも何度か患者の抜いたことあるんだ、ほら、手どけろ」
「で、でも」
「いいから、時間がないんだよ」
 中村は竹中の手を振り払うと、半勃ちのナニを握り締めた。
「うっ!」
「へんな声出すなよ、気色わりいな」
「だってナカちゃん、あ……」

   ★ ★ ★



 田舎町で診療所を開業している医者の中村と、患者としてやってきた竹中。
 二人は幼なじみだが、会うのは十年ぶり。
 婿入りして若い女と結婚したのに子どもができないと竹中に相談されて、中村は精液の検査をすることに……。

 ノンケの中年男性二人がひょんなことから関係を持ってしまうお話。

 初出『ジーメン』。
 シンプルな短編ゲイ官能小説。









先週配信をはじめた『新聞オヤジ』、
その前に配信をはじめた『刺青』、
そして今週配信をはじめたこの『幼なじみ』、
どれもほとんど記憶にない話なんですが、
その中でも今週の『幼なじみ』はほんとにまったく書いた記憶がない。

どんな話だったかは忘れても、断片的に、
ぼんやりとでも、少しは覚えてる部分があったりするものなのに、
今回のは完全に記憶から消去されていた。

過去の原稿はみんなエバーノートというクラウドサービスに保存していて、
そこからてきとうに見繕って、
今週はこの小説でいいかと配信を決めるわけですが、
この『幼なじみ』、はじめは原稿ではなくただのメモとか、
昔『ジーメン』でインタビューの文字起こしのバイトをやったので、
その時のやつかな、なんて思ったんですが、
分量はそれなりにあるみたいだし、と思って開いてみたら、
普通に小説だった。

しかし読み返して校正しても自分が書いたという実感がまるでない。

それでもここにこうして保存されているのだし、
「小玉オサム」と署名もされているのだから、
きっと自分が書いたものだろうと思って配信したところ、
ツイッターでフォロワーの方から
「自分が小玉オサム作品として初めて読んだ小説だったかも」と言っていただき、
あー、やっぱり僕が書いたやつだったんだ、よかった、
と胸を撫で下ろしました。


この先、もっと年をとっていくにしたがって、
こういうことが増えていくんだろうな……。

今はまだ自分でも、ちょっと笑える~この海馬、なんて思ってることですが、
そのうち、ただただ心細い気持ちしかしなくなるんでしょうね。












五月六日開催の『けもケット』で同人誌が出る予定です。

サークルは『Hide & Seek』さん、場所はM-21。

人生初のケモノ小説。原稿用紙で120枚超のボリュームがあります。

挿絵はエンボス先生です。(すごい人気……、畏れ多い)


『Hide & Seek』さんのpixivでサンプルが読めるようになりました。
エンボス先生によるワイルドな獣人のセクシーな挿絵も見られます。

こちらからどうぞ。
Hide & Seekさんのピクシブ




小説本文は書いて渡したので、僕の仕事はだいたい終わりました。

今回は原案をいただいて、それを元に話を書いていくパターンなのですが、
その原案というのもほぼプロットになっていて(レポート用紙で数枚はある感じ)、
キャラクターの設定集なんかも山盛りどっさりで細かいものをいただき、
それを僕が肉付けして細かいプロットをつくり、
それを見ながら実際の小説を書く、という流れでした。

なので、まあ、楽に書けたとも言えるのですが、
(なにを書けばいいのかは決まっているからという意味)
イベントが迫った中で時間がなくて、
プロットをつくるのに三日くらい、
実際に原稿を書くのが一日20-30枚で五日間で書き上げる、
という、僕にとってはかなり急いだテンポとなりました。
(普段はこの倍は時間をかけてのんびり書く生活)

正直、疲れた……。

聞いた話では、
毎日五十枚の原稿を仕上げる作家さん
というのも世の中にはいるらしいのですが、
とても真似できない。

もしそんなことをしたら、
海馬が溶けてるので、
昨日書いた原稿のこともすべて忘れてしまいそうだし。




上のリンクにあるサンプルは濡れ場のみのはず。
全体としてどんな話なのかというと、
冒険活劇のエンターテインメントになってます。

舞台はさまざまな種族の獣人たちが暮らすSF的な世界。
広大な砂漠に囲まれた巨大な王都があり、
あちこちに点在するオアシスと交易がある。

化け物が出てきたり、たたかったり……。
少年ジャ○プ的な?
青年獣の葛藤と成長を描く青春モノでもあり。

三人称で書いたせいもあって、僕の中の中学二年生が顔を覗かせているかも……。


もちろんスケベな官能小説です。









もうひとつ告知。

同人アンソロジー本『漢祭』第二号に僕の小説ものせてもらうことになっています。

挿絵は岩田巌先生です。

スケベなおっさん二人組と筋肉ムチムチな若者の三角関係小説。
岩田先生のおっさん絵がすごくおっさんしてます。
若者もどんな匂いがしてそうか漂ってくる感じ。

こちらは野郎フェス。


もう少し近くなったらあらためて告知します。











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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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