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『お父さんがしたいこと ホタルの交尾④』







アマゾンKindleストアで配信はじまりました。


『お父さんがしたいこと ホタルの交尾④』


   ★ ★ ★

 たぶん、茂みに入って十分と経っていない頃だった。
 気がついた時には足音がすぐそこに迫っていた。植栽の隙間から、おそらく三十代と思われる男の顔がニュッと茂みの中を覗きこんだ。私を見て、たじろぐこともせず近づいてくる。木の根元にしゃがみこんで缶酎ハイを片手に持っている私のすぐ目の前まで迫り、ズボンのファスナーを下ろしていって……。
 あの野球帽の男と間違われていると気づくまで時間がかかった。かかりすぎてしまった。人違いだ、と説明しようと思った。しかし口を開きかけた時には、鼻の下に男の肉がこすりつけられていた。
「う……」
 その熱。その匂い。
 その瞬間、私は男の肉を、火傷するんじゃないかと思うほど熱く感じていた。強烈なその匂いに、めまいを覚えた。
 それは恍惚感にひどく似ていた気がする。
 とにかく強烈な感覚だったのだ。
「なんだよ、口開けろって」
 男に鼻をつままれていた。私は驚いて、思わず口を開いてしまった。そこに生の肉が押し込まれた。
「んう……!」

   ★ ★ ★

 住宅街の中にあるごく普通の公園。
 家の中で煙草を吸わせてもらえない男たちがサンダルつっかけやってきてはニコチンを充填していく。
 煙草の火が強くなったり弱くなったり、よそから見ればホタルのよう……。

 連作「ホタルの交尾」シリーズの④。
 続き物ではなく、毎回読み切りの一話完結ですが、つながっている部分はあります。

 第四話となる今回は、第三話で登場したドSな高校生のお父さんが主人公。

 家に帰れば奥さんが夕飯と風呂を用意して待ってくれている、満たされた家庭生活を送っているはずのお父さん。
 しかし完璧な奥さんに世話される人生を少しだけ窮屈に感じていて、毎晩、家に帰るのを少しでも遅らせたくて公園に寄るように。
 煙草を吸い、缶チューハイをちびちび飲んでいたら、暗い茂みを出入りする男たちの姿を見かけて覗きこむと……。

 長く秘められていた欲望が解き放たれた時、お父さんは本当にしたいことを貪欲に繰り返す奉仕魔に成り下がります。



 書き下ろしのゲイ官能小説。






ホタルシリーズはもうちょっと続きます。
(飽きられていないか心配……)

このシリーズのほとんどはユーモア風味のお話なんですが、
ユーモア風味の話を続けて書いていると飽きてくるので、
今は前にちょっと予告したショタの話を書いています。

こちらはデジケットさまでの専売とする予定。

Kindleでお買い上げくださっている方には大変申し訳ありません。
ショタなだけに問題視されるとこわいので、
間違いない場所で発表という形にした方がいいかなと思いまして……。

予定では次の週末に配信開始するつもりでいます。

タイトルは『塾をサボった男の子』。

内容的には、古典的というか、クラシック?なショタ小説。
(ノンケの酔ったおじさんが女の子と間違えて声かけした男の子と……、
という、たぶん今まで何度もいろんな人が書いてそうな話)

でもこれ、僕の経験をちょっとだけ元にしたお話でして。

僕、小学生とか中学生の頃まで、
女の子と間違われておじさんに声をかけられる、ということがあって。
当時はちょっとポチャッとした少年で、
丸顔で、気が弱そうに見えたせいかと思いますが……。
(とくに顔が女っぽいとか美しかったというわけではない)
(痴漢被害に遭いやすい女性と同じパターンで、大人しそうで逆らわなさそうなタイプが狙われるんだと思います)

で、小学校高学年くらいから親に言われて学習塾に通わされていたんですが、
めんどくさいからしょっちゅうサボって、
商店街の古本屋で時間潰していたんですよ。
その帰り道、暗い坂を上がっていく途中で、後ろから

「彼女、かわいいね、おじさんとお茶しない? すぐそこに茶店あるからさ」

みたいな声かけをされて。

しばらく無視して早歩きして逃げようとしたんですが、
そのおじさんがしつこくて、何度も声かけてきたので、

「僕、男ですよ!」

と言って追い払った、という思い出。




あの時、もし自分が男だということを言わずに
おじさんについていったらどうなったのかな……?

そんなことをたまに考えたりするんですが、
『塾をサボった男の子』は
そんな僕の体験を生かした小説になってます。



(……あれ、なんか、ヤバイ人っぽい?)
(でも妄想する分には問題ないはず……)
(あくまでも、今、あの頃に戻れたら魔性の少年になれたのかもな……、みたいなアホ妄想なんですけど)







いや、実は他にもそういうのいくつかあったんですよ、
あの時自分の態度しだいでヤバかったな、という子ども時代の危うい体験。

ある意味、一番ヤバかったのは、まだ小学校に上がる前、
姉二人と公園で遊んでいたら、
カメラを持った男たちに声をかけられて、
「写真を撮らせて欲しい」
と言われた経験。

が、そこまで悪質な人たちではなかったようで、
姉が「お母さんに聞かないとわかんない」とこたえたら、
家まで車にのせられて送っていかれて、
うちの両親に了解をとろうとして、
結局、断られて去っていった、という……。

でもあの時、知らない男たちの車に子どもだけでのっちゃったんだよね。
今だったらこれだけで問題になりそう。

そしてあの時、写真に撮られていたら、
その後、児童ポルノ写真としてあちこちに出回っていたのかもしれない。
あの男たちはちゃんと親に許可をとったわけだけど、実際に撮影する写真は裸とか
いろいろ変なことをさせるつもりだったのかもしれない……。




間違われた、という体験で言うと、
中学校を卒業した後にも一度あった。

卒業式の後、友だちと二人で式根島だったか新島だったかに
旅行したんですよ。
当時はまだ高速船がなくて、行きは夜行。
夜中、旅の興奮で眠れなくて、一人で甲板に出て行って暗い海を眺めていたら、
酒で顔を赤くした風のおじさんがとなりに……。
なんて言われたのか覚えてないんですが、
世間話を持ちかけられて、
しかしその間、じわじわとおじさんの体がくっついてきた。

当時、すでに『さぶ』を愛読していた僕だったので、
僕が男とわかってナンパされていたら対応も変わったのかもしれない。
でも、そのおじさんはあきらかに僕を女の子と間違えている様子で。
だからてきとうにお茶を濁して友だちのところに戻って
もちろんなにもなかったんですけど、
これも今、あの当時に戻れたら、
こんなこと言ってみたいな、と妄想してしまう。

「おじさん、僕、男だけどおじさんのこと気持ちよくしてあげられるよ……」




いや、あくまでも妄想ですよ?






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osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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