Entries

『予兆』

 その日は電車で会社に行って、報告とか会議とかこなして、電車で地元に戻ってきた。駅ナカの輸入スーパーの前を通りかかった時、遠目にもあいつの姿が目に飛び込んできた。耕三が小さな紙コップを手にスーパーの中に立っていた。おれは思わず顔を笑わせて近づこうとした。だが、耕三がなにをしているのか気がついて足が止まった。 耕三のすぐ前にエプロンをつけた店員がいて、客にワインの試飲を勧めていた。耕三は紙コップを店...

『陸士たち』

アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。『陸士たち』   ♦ ♦ ♦  陸上自衛隊普通科連隊の毎日は教育団の頃とまるでかわらなかった。朝六時に起床。みな一斉に起き出して便所に洗顔。壮観なのが、男の朝といったらつきもののアレだった。体力勝負の自衛官だから、そりゃ派手なもんで、トイレに並ぶ奴らみんながパンツの前つっぱらして、当然ながら誰もそれを隠さない。そこでも特に目立っていたのが、上田の奴だった。 ...

『スリの男道』そして『予兆』

アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。『スリの男道』   ♥ ♥ ♥ 「よくおぼえとけよ。仕事はホームに立ってる時からはじまるんだ。金持ってそうな奴がいたら、この時点でマークしてやる。さて淳平、おまえの見立てじゃ、どいつを狙う?」 「ええと……」  俺はとりあえず、いかにも財布厚くしてそうな、出っ腹の中年男に目をつけた。 「親方、あのオヤジにしときます」 「よし。吾郎、おまえ、カメやってやれ。そら、電...

『寿司屋の大将がカーセックス② 俺の息子』そして神戸旅行

アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。『寿司屋の大将がカーセックス② 俺の息子』   ♥ ♥ ♥ 「あれ見てくれ」  岬の向こうにラブホテルの看板が遠く見えていた。 「ああいうとこってのは、やっぱり男同士は入れないもんか?」  なぜだか、尚人は顔を赤く染めて目をあわせようとしない。 「わかんないよ、でも……、自販機でお金払って鍵が出てくるようなとこかも」 「だったら試しに行ってみるか」 「大将のとこに戻...

『嗅ぐ極道』

アマゾンKindleストアにて配信始まりました。『嗅ぐ極道』   ♦ ♦ ♦ 「俺は、はあっ、はっ、変態なんかじゃねえ」  必死でイメージを振り払おうとした。さっきの小さな上履きに持ち替えようと考えた。なのに目をつぶれば、顔を踏まれたあの感覚が何度もよみがえってくる。追いすがっているのだ、自分で。俺はとうとう上り詰めた。男物の上履きの匂いを嗅ぎ、油臭い味を舌先に覚えながら。 「うっ、くっ、ん……」  声をこらえ...

Appendix

プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR