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『暁けない夜明け』第七話

 消灯後の居室には男たちの体臭とむき出しの便器から漏れる排泄物の匂いが漂っている。日本の刑務所はどこも過剰収容が常態化しており、八畳ほどの広さの部屋に七人の男が布団を並べて横たわっている。同じ舎房のよその部屋から、誰かが咳き込む音が遠く聞こえている。「んっ、んう……」「うー、よかったぜ」「次はおれだぞ」「やだよ、僕にだって好みがある」「うるせえ、あんこのくせして」 英良はうつらうつらしていたが、同じ...

『暁けない夜明け』第六話

「へそくり全部だよ」 黄田が角張った顔を笑わせて、カウンターの上で封筒を押し出していた。英良はぶるぶると首を横に振った。「そんなお金、借りられないよ」 黄田はごく普通のサラリーマンで、妻と子どもが二人いて、犬まで飼っている。貧乏ではないにせよ、裕福でないことはよく知っていた。だから英良も黄田に金を借りようとは思わなかった。黄田はニコニコと笑って、鼻先にずり落ちた眼鏡を引き上げた。「かわりにさ、しば...

『ノンケ男たちの性』

『ノンケ男たちの性』 ノンケ男たちに焦点を当てた短編を四本まとめました。  描かれるのはノンケ男たちですが、内容はゲイ官能小説です。  すべて書き下ろし。 『銀行の高橋さん』  二十代の主人公が中年の銀行員高橋さんに性的な視線を注ぐ物語。  高橋さんはチビ・デブ・ハゲの三拍子そろった、ノンケ世界では好かれない見た目の男。しかし面倒見がよく、頼りになる男。若い主人公は高橋さんに惹かれていき、性的な妄想を...

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プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
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