アマゾンKindleストアにて配信始まりました。
『鑑識七尾寛次郎 警察署長の性』
★★★★★
「……ハァ、ハァ、ハァ」
なにも見えなかった。頭にマスクをかぶせられ、後ろ手に手錠をかけられていた。口のところはあいたマスクだから呼吸は問題ない。しかし床に膝立ちの格好でただ待たされているだけで、興奮で息が荒くなる。勃起して、作業ズボンの股間が左に寄って突き上げていた。
七尾は物井の部屋にいた。独身者用の官舎だ。珍しく呼び出され、勤務明けに飛んできたのだった。部屋に入るとすぐにマスクを渡され手錠され、待っていろと言われた。七尾はなにも言わず従った。物井の命令は絶対だった。
やがてドアの開け閉めする音が聞こえてきた。そして足音が続く。しかし物井一人の足音ではなかった。
七尾は驚愕して身をすくませた。逃げ出そうと思ったが、立ち上がろうとした時には誰かの体温が迫っていた。すぐとなりに、七尾と同じように膝をついた男がいるらしかった。
「フッ、フッ、フッ……」
荒々しい鼻息の音が聞こえた。太った男かもしれない? 誰なのか? どういうことなのか?
自分が何者なのかバレていないか心配だった。マスクをしているから顔は見られていない。しかし鑑識の作業服姿なのだ。もしも相手が警察関係者であればすぐにわかってしまう。いや、まさか警察官のわけが……。いずれにしても、同じ立場の男ではないかと思えた。自分と同じように物井のものにされた男?
不安で心臓が激しく打っていた。すると目の前に物井が立つ気配がした。それからかすかにツンとくるあの匂いが迫ってくる。となりに人がいるというのに……? それでも無意識に口が開いていた。舌を出して待ち構えていた。物井に求められれば応じるしかない。いやむしろ、七尾は従いたかった。自分は物井のものなのだから……。
どうしてこうなったのか今思い返してもよくわからない。
すべては誤解から始まった。事件現場に行くと物井が交番勤務の巡査長として警護に当たっていた。七尾はそれが華代が離婚した元亭主の物井だとはじめは気づかなかった。だからとくべつ態度をかえたつもりはない。なのに物井の方は七尾に侮辱されたと考えたらしい。それとも華代と再婚する男というだけで気に入らなかったのか。物井に待ち伏せされ、いきなり襲われた。一方的に陵辱された。動画や写真を撮られ、脅迫され、口止めされた。それでもまだしばらくは反抗心が残っていた。なんとかしてこの罠から逃げ出そうと考えた。しかし繰り返し手錠され、辱められている内に、なにかが七尾の中で変わってしまったのだった。
トドメは浣腸され、便を漏らしたことだった。
あの瞬間、七尾はすべてを諦めてしまった。底の底まで墜とされた実感があった。逆らう気力がなくなり、言いなりになってしまった。むしろその方が楽に思えたからだ。男としてのプライドを捨て、従属することで、苦痛の中に甘いなにかを見つけ出した。
感じるだろう?
物井に囁くように聞かれて七尾は毛深い裸体を震わせたのだった。自分で指を入れろと命じられ、その通りにした。すると実際、肛門の中に感じる場所があった。そこを指でえぐるとせつなかった。そして物井の肉に犯され、身悶えてしまった。
感じる、と七尾は答えた。その時、七尾は物井のものになったのだ。
★★★★★
妻華代の元亭主である物井巡査長に逆恨みされ、襲われ犯された七尾。
生理的嫌悪感に身を震わせていたはずが、性的な調教をやがて受け入れすっかり従属するように。
しかし飽きやすい物井に邪険にされ……。
『警察署長の性』シリーズのスピンオフ。
『物井巡査長』を先に読んだ方がわかりやすいと思います。
が、これだけ読んでも普通に読めるかと。
ストーリー的には
『警察署長の性』
『物井巡査長』
『鑑識七尾寛次郎 警察署長の性』の順番で続いています。
マミフィケーションもの。
ゲイ官能SM小説。
書き下ろし。
予告です。
次の配信は書き下ろしの
『吉田警部の事件簿 弁護士隈吉源三18』となります。
事件簿、とありますが、おじさん二人がイチャイチャしたり痴話げんかしたりするだけのお話。
スイートな読み切り小説です。
アマゾンKindleストアに配信始まりました。
『親父・出張の夜』
★★★★★
翌朝になって思い返した時に初めて、あの青年はもしかしてゲイということなのかと角野はようやく思いついた。あれはただのマッサージじゃない。性的なサービスだったのだ、と。
まさかこの年であんな経験をすることになるとは……。
出張を終えて自宅に帰るといつもの日常が戻ってくる。妻と子ども二人と過ごしていると、あの夜、ビジネスホテルで受けたマッサージのことはすっかり忘れてしまう。しかしオフィスで働いている時などに、ふと、あの青年のことが頭に浮かぶようになった。満員電車に揺られながら、肛門の奥を指で探られるあの感覚を思い出した。しかし角野はごく普通の異性愛者だから、青年の肉体やその心に興味もなかった。一週間ほど経って、あの日着ていたのと同じスーツに袖を通した。上着のポケットを探ったら名刺が出てきた。迷わずそれをゴミ箱に放り込んだ。
それから数日後、角野はあのホテルの部屋で浴衣を体に巻きつけていた。
チャイムが鳴り、ドアを開けるとあの青年が立っていた。ゴミ箱の中でいったん折れ曲がった名刺がベッドサイドの小さなテーブルの上に置かれていた。
裸になるように言われてベッドにうつ伏せで寝転んだ。オイルをつけた青年の手が背中を這い回る。足指の間をヌルヌルと広げられた時には心地よさに息を大きく吐き出した。ふくらはぎ、太ももとこすられている間はただ心地よいだけだったが、その指が肛門のまわりや睾丸の付け根辺りをこすり出すと勃起した。角野は枕を抱え込んで横を向いた。するとすぐそこに青年の股間が見えた。白衣の上着に黒いジャージズボンだから目立たないが、ジャージの布地が左に寄って盛り上がっていた。
角野は戸惑った。やはりゲイということなのか。青年を指名したことを後悔した。
「友だちの親父さんに似てるんです」
そう言われても意味がわからなかった。
「親父さん?」
「はい。同級生の友だちがいるんですけど、その親父さんがお客さんにそっくりで」
「へえ」
ただの世間話と思ったから受け流すつもりでいた。だがピンとくるものがあった。
「その親父さんが好きなのかい?」
自分で聞いておいて、よけいなことを言ったと角野は思った。
「はい。こんな風に、お客さんにしてるようなことしてやりたいって思ってたんです」
「オ、オオ……」
オイルをまとった指がズルーッと肛門に入り込んでいた。
★★★★★
ノンケの既婚中年サラリーマン。
出張先のビジネスホテルでマッサージを呼んだら思いがけないサービスを受けることに……。
気持ちのいいことに男は逆らえない。
ゲイ官能小説。
シンプルポルノ。
先週は『ヤクザを飼う』の配信がはじまらず、ご心配おかけしました。
数日前から配信、始まっております。
以前にも似たような不具合が何度かあったんですけど、その時と一緒で、結果的に原因はわからないままに終わりました。
アマゾン様はちゃんと調査してくれたのですが、調査の結果がいつ出るのかわからないので、配信を中止して、新たに配信の手続きを一からやり直す、という形を僕の方から提案して、実施したという流れでした。
すると今度は普通に配信が始まりました。
で、配信が中止された書籍に関しては調査をしない、という規定でもあるらしく、アマゾン様の調査は終了。
今後のこともあるので原因を知りたいという気持ちもありますが、まあ、とにかく配信できたのだからいいか、という感じ。
予告です。
次の配信は書き下ろし作『鑑識七尾寛次郎 警察署長の性』となります。
そしてその次は『吉田警部の事件簿 隈吉源三18』となる予定。
『ヤクザを飼う』
★★★★★
客の注文をすべてさばいた頃だった。畑が暖簾くぐって入ってきた。一人だ。チンピラの子分は連れていない。つまりそういうつもりで来たのだ。物欲しそうな顔をしていた。ガタイはでかいし顔はいかついし、それなりに知られた極道の跡取り息子。なのに男のチンボを舐めたくてしかたがない。本当におかしな野郎だ。
いちおう瓶ビールを出してやった。畑は自分で注いで飲む。しばらくして、他の客がそれぞれしゃべったりなんだりこっちを見ていない隙に合図をしてやった。畑はそそくさと厨房に入ってきた。間近に迫ると見上げるほどの巨体だ。だがその後ろ頭をつかんで引き下げた。畑は素直にしゃがみ込んだ。
畑は脚の間に身を縮めた。客から見るとカウンターの下に隠れているからまるでわからないはず。
「マスター、おかわり!」
退職間近のおっさんに言われて酒を作った。その間に畑の指がファスナーを下げて俺のチンボをつかみ出す。まだ柔らかいやつを口の中に吸い込んで飴のようにしゃぶる。指で根元を押さえられて皮を剥かれるのがわかった。亀頭をヌメヌメと舐めまわされるとさすがに反応して一気に勃ってくる。
「はい、お待ち!」
おかわりを渡してやった。酒を作るのに時間はかからない。その短い間に畑の口の中でビンビンと反り返っていた。
入り口が開いて客が入ってきた。若い男ばかりの三人連れ。見ない顔だ。
「いらっしゃい!」
いつもの接客用の笑顔で迎えてやった。三人とも同じ注文だった。酎ハイと冷や奴とモツ煮。用意してやっている間、畑がズルズルとチンボを舐めていた。見下ろすと、いかつい顔が汗だくだ。しかしその表情はうっとりとしている。俺の足にしがみつくようにして頭を動かしていた。ヌルッ、ヌルッと口の中にチンボがこすれる。
「はい、お待ち!」
三人連れに酒とつまみを出した。それからまた畑を見下ろした。狭い厨房でさせているからか、今日は自分のチンボを出していない。だからなんとなく爪先で畑の股間を突っついてやった。
「んんっ!」
低い唸るような声。しかし店の中は騒がしいから客は気づかない。俺は畑の頭をつかんで腰を振った。そして畑の股間を爪先で踏むように突いた。
「んっ、ん……」
うずくまった畑が身をよじらせていた。別にそれが面白かったってわけじゃない。だが、やめる理由もなかった。俺は爪先に体重をかけた。すると脚の間で畑がビクッ、ビクッとガタイを震わせた。
★★★★★
場末の冴えない居酒屋の親父である真閒。
地元の暴力団にみかじめ料を取られていたが、次期組長の畑がチンポ狂いの変態と知り……。
ゲイ官能小説。
書き下ろし。
『極道の濡れる皮』B0BM9C71YS からのスピンオフ作品。
『ヤクザを飼う』だけ読んでもほとんど問題はないかと思います。
大変申し訳ありません。
ツイッターでもお知らせしていますが、アマゾン様側のトラブルがあるようで、まだ配信ができておりません。
はじまりしだい、このブログとツイッターとで告知させていただきます。
→→→→
お待たせしました。
配信始まりました。
くわしくは明日か明後日に改めて。
そして予告です。
もしかしたら順番が逆になってしまうかもしれませんが、今週の配信は
『親父・出張の夜』
となります。
書き下ろし。
ジーメンでのデビュー作である『親父』という小説があったんですが、読者さまからリクエストをもらいまして、インスパイアされて書いたお話となります。
ノンケ中年サラリーマンが出張先のビジネスホテルでマッサージを呼んだら性的なことまでされて味を覚えてしまう、という王道ストーリー。
シンプルポルノです。
アマゾンKindleストアにて配信始まりました。
『移住』
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「ほら、いいとこなんだ、目の前に庭があるから畑ができそうだし、海も見える」
彼がスマホの画面をおれに向けて話していた。おれはフライパンをすすぎながらちらと一瞬だけその家を見た。
「そんなに遠くに行っちゃうんなら、なかなか会えなくなるな」
「なんで? 遊びにくればいい」
彼はまったくいつもと同じ調子で答えた。本気でおれが遊びにくればいいのだと考えているらしい。裏表のない人で、思ったことはなんでも口にする性格だから、嘘をついたりごまかしたりしているわけではなかった。
つまりおれのことが嫌いになったから別れるというつもりはなく、ただ自分の長年の夢だからという理由で引っ越しを決めたのだ。
「ご飯できたよ」
「ん」
彼はまだスマホをいじっている。犬がそんな彼を急かすように足元でうろうろしている。それからおれのところにも来て、じっと見上げてくる。
不穏な空気を感じ取っているんだろうか? 心配している?
だからおれはそれ以上言わないことにした。おれを捨てて熱海に行くんだ?とは言わない。というより、そんなこと言いたくなかった。
夕飯の片付けを二人でやってから彼の家を後にした。車に乗り込み、駐車場から出ていく。彼が家の前で犬を抱いて見送ってくれていた。軽く手を上げて別れの挨拶にする。
うちまでは片道三十分程度の道だった。すぐそば、とは言えないが、日頃車を運転する生活をしている人間からすれば気楽な距離。この距離感がよかったんだろうな、と前から思っていた。遠すぎるのは絶対に続かない。だけど近すぎるのもはやくダメになる原因になったかも、と。
片道三十分の距離。それがよかった。それと、同棲しなかったのもおれと彼の場合はたぶんよかった。週に何日かの通いの関係だとそこまで息が詰まらない。ずっと一緒じゃ続いてなかったなと思う。行ったり来たりがよかったのだ。
なのに熱海じゃそうはいかなくなる。二十年続いた関係が終わってしまう。
二十年続いた関係、とよその話として聞けばすごく長く感じるものだろうが、自分のこととなるとそうでもない。振り返ればなんでもあっという間だ。長く続くのは惰性とも言えるし。だからダメになる時もあっという間だとわかっていた。
それにしてもあの人らしいなと笑ってしまう。
なんでも決断のはやい人だった。せっかちで、こうと決めたらまっすぐ進んでいくタイプ。その分、まわりは振り回されることも多いわけだが、男らしい性格とも思う。おれもそんな彼が好きだったのだ。
だけどおれを捨てるようにして行ってしまうのか。
そう思うから驚いたし、傷ついた。そう、傷ついたんだ自分は、とその時になって気がついた。
★★★★★
二十年続いた年の差ゲイのカップル。
青年だった男はおじさんになり、おじさんだった男はおじいさんになった。
長年の夢だからと温泉地に引っ越しを決めた男と、置いて行かれる男の物語。
ゲイ官能小説。
書き下ろし。
予告です。
次の配信は書き下ろし作の『ヤクザを飼う』となります。
『極道の濡れる皮』のスピンオフ的なお話。
居酒屋の親父である真間という中年男が主人公で、ヤクザの畑を使います。
アマゾンKindleストアにて配信始まりました。
『倒産・社長輪姦』
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みな好き勝手なことを言っていた。一人が腰を振って快感を貪るようになると、それにつられて後の男も真似をした。六人目か七人目になった時だった。背の低い尾下という三十男が私の口に一物を押し込んで言ったのだ。体臭が強い男で股ぐらも独特の匂いがこもっていた。
「オレ、フェラされるの初めてなんだよ」
「お前、童貞だったのか」
「ちがうって、彼女もいるし。でも口でしてくれたことねえから」
私はあと何人いるだろう?と数えていた。あと二人か、三人か。早く終わらせるために亀頭をすっぽり覆っていた皮を唇と舌で剥きあげた。中はべっとりとして汚れていた。ゾッとしながらも必死で舐めまわしていると、グングンかたさを増して口の中がいっぱいになる。太さではこの男が一番だった。だがそんなこと私にはどうでもいい。勃つとビクビクと震えて反り返った。
「ううっ、ヤバい、あ、あ、ほんとに、ヤバ、……うーっ!」
口の中で太い一物が跳ねるように動いた。次の瞬間、ドクッ、ドクッと砲身が脈打って舌の根元の方にドロドロとしたものが流れ込んでくる。なにが起こったのかすぐには理解できなかった。信じられなかったのだ。
「ハッ、ハッ、ハッ……」
頭の上で尾下が荒々しく息を吐いていた。まわりの男たちも驚いた様子で言った。
「まさかお前……」
「社長だぞ?」
「こんなおっさんの口でイッたのかよ……」
不思議とからかうようなことを言う奴はいなかった。それでも私は体を熱くした。今さらながら喉に溜まっているのが男のザーメンなのだと意識できた瞬間だった。
強烈な吐き気が襲ってきた。しかしすでに遅かった。尾下の太い一物がズルズルと口の中をすべり、喉の方までこすられたのだ。その刺激で反射的に飲み込んでしまった。
「ん、んええ、んぐ、んっ、んーっ……!」
私は抗議のつもりで呻いたのだ。しかしまわりの男たちがはやし立てるように言い募った。
「おい、飲んだぞ!」
「社長がザーメン飲んぢまった!」
★★★★★
会社を倒産させることになった中年社長。
従業員たちに詰め寄られ、未払いの給料を払えと迫られる。
それはできないと突っぱねると金庫を開けられ……。
身勝手な中年社長が従業員の男たちによってたかって陵辱されるレイプストーリー。
ゲイ官能小説。
書き下ろし作。
予告です。
次の配信は書き下ろし作『移住』となります。
長く続いた年の差ゲイカップルのお話。
もちろんポルノとして書いていますが、どちらかというと読み物、いわゆる短編小説という雰囲気。
ハードなセックス描写が続くのはちょっと……、という方にもオススメ。
まあ、することはしてるんですけど。