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『陶然』






アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。


『陶然』


   ★★★★★

 おそろしかった。逃げ出したかった。過去の亡霊が追いかけてきたような、そんな気がしていた。しばらく歩いてから振り返ると、男が追ってこないことがわかった。川田は心底ホッとした。だが同時に、何かを期待していた自分にも気がついていた。もうああいうことからは手を引いたのだ。もう三年も、男と体を重ねること自体していない。ましてああいうことは……。
 しかし耳の中では男の声がこだまのように鳴り響いていた。
 あんた、Mだろう?
 体の芯が熱くなっていた。引き返したいという誘惑はそこにあったが、アパートのそばまでずっと早歩きで行った。階段をのぼろうとしたところで、いきなり後ろから手をつかまれた。川田はひどく驚いたが、一瞬胸躍った自分を否定することはできない。
「あんた、ビデオに出てただろう?」
 男はスーツの上着を脱ぎ、肩に指で引っかけてニヤニヤ笑っていた。川田の体からスーッと力が抜けていった。身がすくむとはこういうことかとぼんやり考えた。
「顔ははっきり映ってなかったけど、たしかにあんただ。だから今日は思い切って声をかけたんだ」
 男の自信満々の態度に、川田は呆然としていた。
「はなしてくれ」
「部屋に上がってもいいなら、はなしてやるさ。ビデオでされてたようなこと、もう一度されたくないのか?」
 目の前が暗くなった。そこで、男が川田の手をスラックスの股間に押しつけた。上等なスラックスごしに、かたいものが触れた。川田は顔を真っ赤にした。
「どうやら久々らしいな?」
「いやだ」
「握っておいていまさらなんだよ?」
「やめてくれ……」
 そう言いながらも、太くてかたい握り心地に、川田は圧倒されていた。

   ★★★★★



 SM行為にハマる四人のゲイ。
 大学生、三十代サラリーマン、肉体労働者、富裕層の変態中年男。
 MはなぜMになるのか、SはなぜSに……。
 男たちをめぐる四編からなるオムニバス小説。

 初出『Super SM-Z』(『ジーメン』だったかもしれません)

 誌面掲載時とタイトルがちがっています。ご注意ください。





実はこの小説、ほんとに雑誌にのったのかどうか、自信がありません。

でも、最後までちゃんと書いてあるし、
ボツになった記憶もない。
だからのったはず…。

さすがにボツになった原稿に関しては覚えてるので、たぶん…。



ちなみにどこかの雑誌でボツになったものでも、
また別の雑誌でのせてもらって無駄にならずに済んだ、
ということは何度かありました。

ボツ、と言っても、クオリティが低くてのせられない、
ということはほとんどないんですよね。
たいていは編集者さまの好みにあわず…、ということで。

なので雑誌の色にあわせてちょっと手直しして、
「これ、どこどこでダメって言われた話なんですけど、読んでもらえませんか?」
とよそに持っていくと、
「これで使わせてもらいます」となった、という。
ほんとありがたい。心が広い。


もちろんクオリティが低いもの書いてボツ、
ということもありました。
一度はちゃんと覚えてるんですが。
まだあったかな…。あったかも。




これ、おもしろいのは(と言っていいのかどうかわからないけど)、
逆のパターンもあるんですよね。

書いてて、自分で、
これ、どうかな…?
と思うような作品なのに、
ダメ元で編集部に送ったら、
「いいですね、これ!」となるパターン。


前から何度も書いてますが、
作品の良し悪しって作者には判断できない
こともある、
ってことですかね。





『団地住まい』と『弁護士隈吉源三⑤&⑥』






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『団地住まい』


   ★★★★★

「うん、うーん、……おっ」
 だらり、だらりとチンポの先から濃いザーメンがあふれだした。半分トコロテンみたいなイキ方だ。こんな出し方、もやもやしないのかとおれなんかは思うが、将志はいつもこうなると、男前の顔を歪ませて、ほんと情けない風になる。それはまあスケベなもんだ。開けっぴろげもいいとこで、体がだらんとして、肉でできたスケベ人形みたいに力が抜けてしまう。
 そんな腑抜けになってしまった将志を見下ろしながら、おれも一気にピッチを上げた。
「ふっ、ふっ、ふっ、おれも出すぞ、いいか、出すぞ、うーっ!」
 もちろん中に出してやった。外に出した方が楽かと思うんだが、将志は中に出してくれといつもせがむ。使われてる感じがいいのだと言う。
 ティッシュで拭き取るとタバコに火をつけた。その間に、将志は便所に入っていく。息んでいるのが聞こえた。おれのを出しているのだ。それが終わるとどうするか、もうわかっている。のんびり朝風呂につかるのだ、あいつは。
 おれはタバコを消すと布団をあげて、流しでちんぽと顔を洗った。さっさと服を着て、簡単な朝飯の支度をする。できあがった頃に将志が風呂から出てくる。湯気をもうもうとたてて、毛深くて男らしい体をタオルでゴシゴシやっている。
「飯できたぞ」
「うん」
 いちおう、片付けだけは将志の仕事になっているし、おれが仕事に行く時は必ず玄関まで見送ってくれる。
「いってらっしゃい」
 それに一番大事なことだが、将志はだいたいいつも上機嫌だ。


 この団地に将志と一緒に住んで、もう八年たつ。その間、ほとんど変わらない生活が続いている。つまり、おれが働いて、将志は遊んでる。六十過ぎたおれがせっせと警備員やコンビニのパートをして生活費を稼ぎ、若い将志がその金を使う。
 付き合いだした時は会社勤めをしていた将志だった。しかしちょくちょくうちに遊びにくるようになった頃、暗い顔で言ったのだ。
「仕事やめちゃったんだ、アパートも追い出されそうでさ」
 それがすごくさびしそうな、頼りなげな顔だったのだ。おれはその頃将志にぞっこんだった。なにしろ二十も年下で、そのうえ男前でケツが感じるのだから、理想の相手だ。だからむしろ、渡りに船と思って言ったのだ。
「だったらうちにこい。どうせここはローンで買ってるんだ、一人で住んでも二人で住んでも一緒だ」
 最初の内は将志も仕事を探していた。というか、たぶん今思うと、探すフリをしていたんだろう。だがそれもすぐにやめてしまった。そして今では、働かないでいるのが当然のような顔で、毎日のんびり過ごしている。

   ★★★★★


 六十は過ぎたがまだまだ「現役」の主人公。性格は真面目で男っぽく、四十の将志と男二人で団地に暮らしている。将志は男盛りで見栄えもいいし、性格はほがらかで可愛い奴なのだが、働こうとしない……。

 リアルな男二人暮らしの物語。

 ドメスティックなゲイ官能小説。

 初出『ジーメン』。









[小玉オサム文庫] の【弁護士隈吉源三(5)&(6)】


デジケット・コムにて配信はじまりました。


『弁護士隈吉源三⑤&⑥ 小玉オサム作品集11』


弁護士隈吉源三(5)

元医者の隈吉が弁護士になり、大塚事務所に入って三年が経っていた。高校の同級生であり、同僚の高山とは男同士の恋の関係が続いている。半同棲生活を送る二人だが、隈吉も自分の部屋を借りていて、その隣部屋に住む少年が隈吉に訴訟の依頼をする。少年は病気で母を亡くしたのだが、病院を医療ミスで訴えてくれと言うのだった。

『弁護士 隈吉源三』シリーズ第五弾。

初出『サムソン』。

雑誌掲載時は前編、中編、後編と分かれていたものを一つにまとめました。



弁護士隈吉源三(6)

四年の交際を経て同棲をはじめた隈吉と高山。同じ法律事務所に勤める弁護士カップルは幸せな生活を送っているように見えた。隈吉は女性への未練を捨て、高山と男同士の将来を考えるようになっていた。しかしある晩、目を覚ますととなりで眠っているはずの高山の姿がない。高山は薄暗い部屋の中で泣きながら一人酒を飲んでいた。

『弁護士 隈吉源三』シリーズ第六弾。

初出『サムソン』。

雑誌掲載時は前編、中編、後編と分かれていたものを一つにまとめました。




隈吉の方はKindleで配信済みのものと同内容です。
まとめただけ。





そして遅くなってしまいましたが、本日、関西ケモケットにて
サークルHide&Seekの新刊が頒布されています。

『BRUNO Vol.3』と
『encierro 2』

エンシエロは当日限定みたいです。

ブルーノは通販や、電子版も出ます。




ブルーノシリーズ、ちょっと人気出てきたみたいでうれしい…。
挿絵のエンボス先生のおかげ。
足向けて寝られない。
ありがとうございます。


前にも書いたと思うけど、まさか自分がケモノ小説書くようになるとは思ってなかったからほんと不思議。
というか、声かけられるとなんでも喜んで書いちゃうんだよね、結局。
主義ってほどじゃないけど、きた仕事断らない人なので。
節操なしともいう。

今回、獣人同士の戦闘シーンがいくつも出てくるんですけど、
原案のいぬごくさんから指示をもらった時には、
エロ小説でそういうの求めてる人っているのかな…?
とも考えたんだけど、どうなんでしょ?
世界観ってとこから見ると必要なものなんだけど。
まあ、書いてるこっちは楽しいから書くんだけど。

前にも書いたかどうか忘れたけど、
僕はフランソワーズ・サガンに憧れて小説家になりたいなって思ったんですよ。
高校生の時に、学校の図書館で借りて読んだのが最初だった気がする。

サガンは作家本人も作品も退廃的で、
まあ、いわゆる「おフランス」なイメージですよ。
愛人とか不倫とか金持ちとか、そんなんばっかり。

かっこいい~、とホモの高校生の僕は考えたわけですが、
同時に、ドラゴンボールのアニメとかも楽しく見ていた。
で、大学はサガンをきっかけに仏文科に入り、
当時流行っていたバタイユとか読んだりしつつ、
映画のマトリックスを観て、美しいとかかっこいいとか思っていた。

なので、獣人がセックスしたり、闘ったりする話を書くのも
考えてみれば、そう離れているわけでもないのかも…。

(なにが言いたいのかわからなくなってきた。)





はなし戻りますが、
ちなみに、こういう、挿絵描きの先生の人気にのっかって売る、
という形は今まで何度も経験してること。

ふるくは、サムソン、ジーメンで戎橋先生の挿絵をつけてもらったのが最初かな。
その後も、aki先生とか、ジーメン後期ではばんじゃく先生とか、
その時期ごとに編集者さまが組み合わせてくれて、
たくさんの先生にたすけてもらってきました。

ビジュアルがあるとないでは大違いなんだよね。
しかし自力で挿絵を依頼したりってのは難しいから、
(手間も時間もお金もかかるから)
いぬごくさんみたいな人がいないと今後も無理だと思います。






『 郵便配達人』






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『郵便配達人』



   ★★★★★

 あの日は朝から雨が降っていた。かなりのザーザー降りで、ベルを鳴らされてドアを開けると、ずぶ濡れの雨合羽を着た郵便屋が水を滴らせながら入ってきた。
「尾上さん、小包です」
 男の口調は事務的だった。だが、ヘルメットの下のいかつい顔は、まじまじと小包を見下ろし、俺の顔と見比べていた。どこか不自然なものを感じて、俺も男の手の中の小包に目をやった。
「あ……」
 かすかにだが、喉の奥で声を出してしまった。その小包は雨に濡れて紙が破け、中の箱が見えていた。それはビデオテープのパッケージで、表紙では俺の好きな若い男がアレを丸出しにしてポーズをとっていた。
 郵便屋はヘルメットをはずし、雨に濡れた顔をぬぐった。いくぶん額の後退した、四十前後の男だった。がっしりとたくましく太っていて、外回り専門の郵便配達夫だと一目でわかる。俺と四、五歳しか違わないだろうに、いくらか老けて見えた。
「これ、お宅宛で間違いないですか」
 男はビデオの包みを持ち上げて、濡れた表面を指でなぞった。
「濡れて、住所がはっきり見えないんだ」
「あの……、はい、うち宛だと思います」
「そうですか……。じゃあ、ここに判子を」
 俺はあわてて判子を取りに行った。戻ってくると、郵便屋はまたしげしげとビデオのパッケージを見下ろしていた。判子を差し出しても、なかなか受け取ろうとしなかった。
「これ、」
 パッケージを指さして、俺の目を見た。思わず、心臓が止まりそうになった。
「これ、裏じゃないですか」
「え、は、はあ」
「こういうものは扱っちゃいけないことになってるんだよ、ほんとは」
「す、すいません」
「お宅……」
「はい?」
「いいや。じゃあ、今度から気をつけて」
 そこで、男はやっと判子を受け取って押し、怪訝そうな表情のまま出ていった。俺は鍵を閉め、チェーンまでかけてから、ため息をついた。
「やばかったな……」
 濡れた紙のへばりついたビデオを見下ろした。実のところ、そんなに欲しいタイトルではなかった。危険を犯す価値のあるものじゃない。もうこの会社のビデオは買わないようにしよう。
 それにしても、とあの郵便屋のことを思い返した。へんなところでこのことを言いふらさないでくれればいいが……。


 それから数日後の午後早い時間になって、玄関のベルが鳴った。仕事先からMOを送ったと聞いていたから、とくに驚きはしなかった。あの郵便屋にビデオを見られたこともほとんど忘れかけていて、だいたい五秒後にもう一度ベルが鳴った時には玄関まで出ていて、確かめもせずにドアノブを回していた。
「はい、今開けますよ」
 玄関を開けると、そこにはあの男が立っていた。少なからず、ぎょっとした。
「速達です」
「あ、はい、今、判子を」
 判子を取りに居間に戻りながら、こういうこともありうると気づいていなかった自分にあきれかえった。郵便屋なのだ、地区ごとにだいたいの担当は決まっているのだろう。だとしたら、これからも速達やら書留をもらうたびに、こんな気まずさを味あわなければならないのか。嫌だなあ、と思いながらも、とにかく判子を持って玄関に戻った。
「これ、判子です」
 男は軽く頭を下げてから判子を受け取った。だが、なぜだかすぐには押さず、上目遣いで俺を見た。
「お宅さ……、男が好きなんだろ?」
 俺は自分の耳を疑った。
「え、」
「おれはさ、女がいいんだけどな、去年、女房に逃げられてな」
 そこで男は横を向いて、ヘルメットを脱いだ。短く刈り込んだ頭をかきあげて、顎をひっかく。かすかに、男の体臭が鼻先に流れてきた。それは若い男の匂いとは生理的に違っていた。額を広くしてテカらせた、年を重ねた男独特の匂いだ。この匂いはあまり好きじゃない、と俺は思った。

   ★★★★★




 粗野な中年の郵便配達人に弱みを握られた主人公。
 口での奉仕を強要され、レイプまがいのことまでされるが、男の孤独に触れるうちに……。

 ゲイ官能小説。

 初出『ジーメン』。
 掲載時は前編、後編に分かれていたものをひとつにまとめました。






今までは雑誌で二回、三回連載だったものは
Kindleでも二回、三回、と分けていたんですが、
今回はなんとなく一つにまとめました。

それもあってこういう値段つけたんですが、
しかし考えてみたら、
先週から配信している『夏休み』は読み切りですが、
原稿用紙で100枚あるんですよね。

で、今週の『郵便配達人』は前編、後編、あわせても100枚いってない…。

まあ、今までも値段のつけ方はテキトーなのでしょうがないんですが。

すいません。



こちらもKindle Unlimited対象となっております。
読み放題サービスご加入の方、よかったらお願いします。










『夏休み - おれと先輩とおっさんと』






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『夏休み - おれと先輩とおっさんと』


   ★★★★★

「おっ、まだ出てんのか、ちくしょ、俺もたまんなくなってきた」
「あっ、ああっ!」
 出したばかりで敏感になっていたのに、岡安さんは少しも容赦してくれなかった。ケツでおれのちんぽをむさぼったのだ。おれが体よじって悲鳴をこらえている姿を見ながら、音たてて腰を振って自分でちんぽをしごく。おれは焦っていた。口に出してくれるって約束じゃないか、そう思って無意識に口をパクパクさせていた。岡安さんはそんなおれを見てニヤリと笑い、唐突に腰を浮かした。ズルンッとちんぽが抜けた快感におれはうめき声漏らした。その口に濡れたちんぽを押しつけられた。
「ん、んう」
「すぐ出るぞ、うっ、おおう……」
 ドロドロと熱いザーメンが舌の上にあふれた。おれはせつなかった。うっとりしていた。あー、なんだろ、この感覚。頭の中が真っ白だ……。


 翌日の昼間、先輩が米の配達でやってきた。おれはドキドキしていた。先輩はそしらぬ顔だったけれど、見送ろうと外に出ると小声で言った。
「マジでびっくりしたよ」
「あ……」
 やっぱり見られていたのだ。一瞬で顔が熱くなった。と同時に鳥肌も立つ。おそろしかった。だけど先輩はニヤッと笑った。
「でも、これでお互いに秘密がバレたってことだな」
 おれは心底ホッとした。
「先輩……」
「こんな田舎なのにな?」
 先輩の笑い顔を見て、確かに、とおれも思った。こんな片田舎でこんなことって普通ない。それともみんな、裏ではきわどいことしてるものなのか。
「ホッとしたよ。言いふらされたらどうしようって悩んでたんだ」
 先輩は軽くおれの肩をたたいた。
「あんな大胆なことしておきながら?」
「バカ。ああいう時はちょっと違うだろ。こう、頭の中がおかしくなってるんだ。夢中でさ」
「へえ」
「お前もそうじゃないのか? じゃなかったら男なんかと……」
 そこで先輩は口をつぐんだ。店の中から従業員の一人が出てきたのだ。すぐに自転車で行ってしまったが、もう話は一段落ついていた。だけどおれはもっと話したかった。
「先輩、今夜でも、先輩の部屋に行ってもいいスか? もっと話したいスよ、おれ」
「べつにいいけど」
 店の中に戻ると厨房から岡安さんが手招きしていた。他の従業員の目を盗んで、裏口から外に出る。でっかいゴミ箱の横でズボンからちんぽを引っ張り出してみせた。もう半勃ちだ。おれはすぐさましゃがみこみ、それを舐めた。我ながら要領つかんだな、とは思うが、改めてこのおっさん強い人なんだなと驚いていた。夕べおれの口に出した後、もう一度おれの勃ちっぱなしをケツに入れて自分でしごいて出したのに、今日になったらもう元気だ。おれは鼻鳴らしてザーメンを飲み込んだ。
「俺の味と匂い、覚えたか?」
「あの、はい……」
「マスかく時も俺のことだけ思い出せよ?」
 すばやくしまい込むと先に厨房の中に戻っていった。おれは強い日差しに汗だくだ。なのに体の奧からどんどん熱がわきだしてくるような感じだった。

   ★★★★★






 大学の長い夏休み。実家に呼び戻され、家業の食堂を手伝う主人公。夜、自分の部屋で休もうとしていると、向かいのアパートに、たくましい体つきの男が薄着でくつろいでいる姿が見えてくる。それは高校時代の先輩、上戸だった。
 声をかけようか迷っていると、上戸の部屋に年上の女が訪ねてくる。女は上戸に手錠をかけて……。

 いつも強引なSのおっさん従業員、そして受け身なMのノンケ先輩、同時に二人の男と関係を持つことになる主人公の青春ストーリー。恋も愛もわからぬまま、一夏のSM体験が続く。

 ゲイ官能SM青春小説。

 初出『Super SM-Z』。








これ、ほとんど忘れていた作品なんですが、
たしかSM-Zに書いたものだったと思うんですが…。
自信がない。
でも、たぶんそうだったと思います。

で、いちおうSM小説ではありますが、
すごく痛いとか、すさまじく屈辱って感じでもないし、
若い男の子の青春ストーリーなので、
けっこう気軽に読めてエロい、というテイストになってます。


Kindle unlimited対象になっております。
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『寝間着の匂い』『先生の味 小玉オサム作品集⑩』





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『寝間着の匂い』


   ★★★★★

 トイレにつくと、Kさんは車椅子を身障者用の、アコーデオンカーテンで区切られた個室に押してくれました。
「すいませんでした。後は自分でできますから」
「ああ。でも押さえてるから、便器に移っちゃえばいい」
「はい、すいません」
 僕はなにも考えず、手すりにつかまって便器に座り直しました。しかし、車椅子と違って便器に座ると、痛まないようにかばうので、自然と股が開いてしまいました。そうすると、薄い寝間着の前がもっこりと膨らんでいるのがあらわになりました。僕はぎょっとしましたが、知らない顔でこのままにしていようと思いました。しかし、お礼を言ってカーテンを閉めてもらおうとKさんを見ると、Kさんも寝間着の前を膨らませていたのです。
 僕は本当に驚いて、Kさんの顔を見上げました。Kさんは真顔で、狭い個室の中を移動して僕の脇に立ちました。そしてカーテンを閉め、僕の顔を見下ろしてうなずきました。
 その時まで、僕はKさんがそういう人だとは夢にも思っていませんでした。それまでまったく実体験がなく、同じ性向の男と会ったこともなかったからです。だから、まさかこういう場所で、こんなことになるとは思っていなかったのです。風呂場でKさんが僕を見ていたというのも、みんな、面白がっているだけだと思っていました。
 僕は唾を飲み込みました。Kさんの顔を見上げていました。Kさんは真顔のまま、のそのそと寝間着ズボンを下ろして、勃ちきったアレを引っ張り出しました。そうするとあの匂いがさらに強くなり、あまった皮をつまんでむくと、よけいに生々しく、強い匂いがしてきました。それは赤黒く、脈打って小刻みに震えていました。皮をむいたところは湿って、少し光っています。汗と小便のまじった生臭い匂いもして、僕はその匂いを嗅ぎながらKさんの顔をもう一度見上げました。Kさんはうなずきました。

   ★★★★★



 整形外科に入院中の大学生と、気さくな中年男K。
 二人は食堂や廊下で顔をあわせれば挨拶をする仲だった。
 大学生はKの寝間着から放たれる中年男独特の体臭をくさいと感じていたが、くさいと思えば思うほど、若い体は反応して……。



 初出『ジーメン』。
 筆下ろしゲイ官能小説。








[小玉オサム文庫] の【先生の味 小玉オサム作品集(10)】


デジケット・コムにて配信はじまりました。


『先生の味 小玉オサム作品集⑩』


『先生の味』

むさ苦しくガサツな中年教師の山田。いつも性欲を持て余し、誰かを自分の思い通りにしたいという妄想にとりつかれていた。
そんな山田が教え子の周作に目をつける。
周作は小太りで色が白く、真面目でおとなしい性格だった。とくべつ目立つ生徒ではなく、むしろ地味な周作のことを、山田はいつからか性的な目で見るようになり、ある計画を実行に移そうとする……。

こいつなら俺の好きにできるかもしれない。

教師が生徒を襲う、○辱小説。
書き下ろし作。Kindleにて発表。



『義父』

母の急病で二年ぶりに実家に戻った主人公ひろふみ。
大学入学以来、家から離れていたのには理由があった。母の再婚相手でひろふみにとって義父となる男のそばにいられなかったからだ。当時、ひろふみは義父に対して恋心を抱いていた。
母は入院している間、義父の面倒を見てくれるように息子にたのむ。ひろふみは抵抗を覚えたが、病気の母に言われ断れるはずもなく……。
義理の父と息子の同居生活が始まり、やがて二人は追い詰められるように関係を持つことに。
罪の意識に押しつぶされそうになる二人だが、ひろふみは義父への想いを高ぶらせ……。

初出『サムソン』。
四回連載だったものをひとつにまとめました。



『親父さんが待ってる』

何年も付き合いのある恋人がいながら、他にもいい男いないかと遊び歩く主人公。
恋人の「親父さん」も、好きに遊べばいい、最後にわしんとこに戻ってきてくれればいいさと言う。

主人公は昔の知り合いと久々の再会を果たす。
年を重ね、以前よりタイプど真ん中になったその男と関係を持ち、親父さんとの別れについて考えるが……。

誠実でやさしい恋人がいても浮気心のおさまらない男という生き物の本音を描く短編。
初出『豊満』。











『寝間着の匂い』は整形外科の入院病棟が舞台なんですが、
僕自身が二十代の終わり頃にヘルニアで入院経験があり、
そこから思いついた話になります。

入院中に書いたんだったか、退院してから書いたのか
記憶が定かじゃないんですが。

このお話の主人公と同じで、
僕も入院して手術を受けるまで
ベッドの上でずっと横向きで寝ていたんですが、
右脚全体にずっと肉離れの痛みが走っていたから、
左向きで寝ながらシーツの上においた原稿用紙に
ボールペンでなにかしら小説を書いた記憶。

当時は下書きは原稿用紙に手書きで書いていたんですよね。
たまたま痛いのが右脚だったから横向きで書けたけど、
あれが反対だったら原稿も書けず退屈したはず。(右利きだから)

と言っても、いくら時間があっても、
一日中原稿書くなんてできないから退屈だったけど。




デジケットさまでの配信は今まで月に一度としていましたが、
前に予告したように、
今後は二回に増やそうと思います。
そうしないと永遠にKindleに追いつかないから。

ただ、続けばいいけど…。
すでにKindleで配信済みのものとはいえ、
ざっとでも校正はするので、月に二度、
自分の原稿を何百枚も読み返すのって苦役…。





Appendix

プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

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