Latest Entries

『みがわり』




アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。


『みがわり』




   ★★★★★

 結局、断り切れずに学生だけで飲みに行くことになった。総勢十数名いたから、大学そばの店にはとても入りきれない。だから町まで出て大型のチェーン店を探した。やはり学生だけだとみなハメをはずす。俺は気をつけるつもりでいた。だが飲みながら、何度も音白が耳元で訴えるのだ。
 子どもの頃から先輩のこと、好きだったんですよ。
 先輩が大学に行っちゃった時は本当にさびしかった。あの町で取り残されて。だから必死に勉強したんです、先輩と同じ大学にこられるように。
 この気持ちに嘘はないんです。先輩をすごく想ってる。だから先輩と奥さんの仲を裂くつもりはぜんぜんないんだ。ただ、少しだけ先輩をたすけてあげたいって思ってるだけなんだ。
 先輩は少しも僕のこと考えなくていいんですよ。ただ僕に面倒なことを押しつけてくれればいいんです。それだけで僕、幸せなんです。
 繰り返し、繰り返し、耳元で囁かれた。その間も他の連中とのやりとりは続いていたのだ。ごく普通に、大学だとか、就職だとかの話をしている間、間に、音白の囁きが続く、誘惑が続く。
 俺は頭がどうかしそうで、酒を飲んだ。酔いが回ると、妻や、教授のことが頭に浮かんできた。みづえのひんやりした手。熱くなったところに触れたのに、また離れていく。かと思うと、自分が音白の熱いところに手を触れた、あの感触がよみがえる。
 俺は違うんです、教授。
 少しも違わないさ。怖がる必要はない。ただ楽しめばいいのさ。
 現実にはかわしていない会話が頭の中で巡っていた。そして気がつくと飲み会はお開きになっていて、俺は音白に手を引かれ、夜の町を歩いていた。着いたのは、音白の借りているマンションだった。


 完全に酔っていた。音白の部屋がぐるぐる回って見える。ベッドに寝かされて、俺は抗議した。
「ソファでいいぞ、俺は」
「二人で寝ればいいんですよ」
「やめてくれ、ほんとに、やめてくれ……」
「反対の意味で言ってるんですよね、先輩? でなかったら、こんなに酔ったりしない。先輩はいつもきちんとしてる人なんだから」
 そうなのかもしれないとは思った。こうでもしないと素直になれないから? そう思いついて、ぎょっとした。だけど体は動かない。そして意識はますます朦朧としてくる。
「たいしたことじゃないですよ先輩。奥さんのかわりに、僕がちょっと相手をするだけじゃないですか。男同士なんだから、これは浮気にならないんだ」
「でも、う……」
「オナニーをちょっと手伝うだけなんだ。そう思えばいいんです。元は奥さんがちゃんと妻の役目を果たさないからいけないわけだから、先輩が気にする必要ないですよ」
 音白の手が俺のそこに触れていた。ズボンの上からだが、とても熱く感じられる。妻の手とは正反対だった。あのひんやりとした小さな手とはまるで違う感触。音白は俺と比べたらずっと小柄だけど、その手はやはり男の手。すらっとしたきれいな指だが、大きさは男のそれだ。そしてこの熱。軽くそえられているだけだというのに、俺まで熱くする。
「はなせ、たのむ」
「せっかく大きくなってきたのに?」
「く……」
 意志の力では押さえきれなかった。俺はそこを熱くしつつあった。音白の指がそれを撫でた。根本をつかまれると、体が震えてしまった。
 みづえのやり方と違う。
 もう数ヶ月、妻とは関係がなかった。だが子どもが生まれるまでは互いに求め合った仲なのだ。だからどうしたって比べてしまう。みづえの小さな手に導かれた時と、音白の男の手で快楽を引き出されるのとでは、こんなにも……。
「たのむ、みづえのことは言わないでくれ」
 俺は快楽の吐息を漏らしながら、小さな声で呻いた。妻のことばかり考えているのは俺の方なのに、音白には俺の頭の中が見えているのか。音白はうなずいて、俺の顔に手をそえ、俺より小さな声で囁いた。
「もっと集中したいってことですか?」
「あ、」
「僕と二人きりだってことに、もっと夢中になりたい?」
 音白の唇が俺の唇に重なった。そして熱くてヌメッた音白の舌が口の中に入り込んでくる。
 なんで、俺、男とキスしてるんだろう?
 なんだか頭がぼうっとしていた。体が熱いのだ。
「暑いでしょう? 汗かいてる、先輩」
「だめだ、これ以上、よしてくれ」
「またキスされたいってことですか?」
「んっ……」
 音白の舌は柔らかかった。それはみづえの舌よりもなめらかで、熱くて、俺をクラクラさせた。音白はリモコンで暖房を強くした。そして俺の服を脱がしていく。俺は何度も、やめてくれと言った。だがその声はどんどん小さくなっていき、やがて口の中で消えた。
「見ないでくれ……」
「隠しちゃだめですよ。男同士なんだから」
「あ」
「先輩の体、大きくてたくましいな。それにここ、やらしい形してますね」
「だめだそんな、口でなんか……、う」

   ★★★★★




 海辺の大学村に暮らす若い学者の夫婦。
 天才と呼ばれる美しい妻とかわいい子どもがありながら、主人公は後輩に誘惑され、男同士の味を知る。
 罪悪感に苦しみながら、後輩を想う気持ちも、妻子を愛する気持ちも捨てられず、不倫の関係を続けていく……。


 BL風味のせつない長編(原稿用紙にして218枚)。

 ダメ男もの(大柄な若パパ)。 



 他電子書籍サイトにて書き下ろしとして発表した作品となります。
 タイトルはもしかしたら『みがわり』と違っていたかもしれません。
 名義もおそらくは大門秀子だったと思いますが、また別の名前だったかも。
 万が一にも重複してお買い上げされることのないように、上の抜き書きやサンプルをご確認くださいますよう、よろしくお願いいたします。(そのサイトはすでに閉鎖されています。書類なども処分済みのため確認とれませんでした)















数日前から旅行してます。
いつものことだけど、だらだらするだけの一人旅。
出歩くにしても、買い物くらい……。

前からくるたびに、行こう行こうと思っている美術館があるんですが、
去年は行く途中でバスが祭日の交通規制に引っかかり、乗ったところに戻されて、
やる気をなくして断念。

今回も調べたら、ラマダン明けの祝日(ハリラヤ? よくわからない)で、
数日休みと判明。
それでも帰国便の前日には再開するので、行けるかどうか。

明日はドリアンのソフトクリームを食べに行く予定。
なくなってなければいいけど。
昨日、去年来た時に美味しかったドリアンクリームパンを買いに行ったら、
そのパン屋のあった区画がまるごと閉店していた。

今回はそういうことが多い。

素敵なショッピングモールに行ってセール品をあさろうとしたのに、
前にあった店がなくなっていたりが数軒。
まあ、世界中にあるカジュアルブランドとかなんだけど、
旅先でないと財布の紐がきつくて買い物できないし、
そもそも日本にいると出かけない。
船橋の誇りららぽーとが歩いても行けるとこにあるのに、
行かないんだよね、まったく……。

しかし買い物ももうしたので、
明日からはあまりすることもない。
なのでソフトクリームを食べに行くのが唯一の予定です。
ドリアンソフトクリーム、楽しみだな~。



ちなみに補足すると、一度、ドリアンが好きになると、
あの独特の匂いも臭く感じなくなります。
いい匂いになる。
日本でも気軽にドリアン味のケーキとかアイスとか、
食べられる時代になるのを願っています。
こないだろうけど。


『全裸の先生』






アマゾンKindleストアにて配信はじまりました。


『全裸の先生』



   ★★★★★

「おはよう」
 廊下を歩きながら生徒たちに声をかけていく。しかしおはようと返してくれる生徒は半分もいない。中には私の顔をまじまじと見据えて、首をかしげている者までいる。
 私は生徒に人気がない。いや、むしろ、嫌われている。
 職員室に入ると他の教師たちと最低限の挨拶をかわし、自分の机についた。すぐにスマホを取り出して、一眼から転送した写真を見る。彼が窓辺で笑っている写真。光が足りなくてぼやけているが、その分、なにか神聖なもののように見える。
「先生」
 すぐ目の前に彼が立っていた。西脇健四。一瞬、なにか奇跡的なことが起きたのかと思ったが、彼は手に持ったバインダーを私の机において頭を下げる。
「あ、ごくろうさん。ありがとう」
 私が生徒に課したレポートを彼が集めて持ってきてくれたのだ。もともと、彼だから選んだわけじゃない。ただ名簿のうえで目について、指名したら、彼は少しも嫌がらず引き受けてくれたのだ。毎年、誰にやらせてもこの役目を嫌がるのに、西脇健四ただ一人、それが当たり前という風に、もう半年も続けてくれている。
 彼を好きになったのはそれがきっかけだった。
 教師である私が生徒の彼に恋した理由。
 こんな些細なことがきっかけで人を好きになるとは思ってもいなかった。五十年近くも生きている私なのに。しかし彼だけは私を嫌っていないとわかるのだ。私に笑いかけてくれる時もある。本当の意味でしたしげに「先生」と呼んでくれる。
 恋をするには、それだけで十分じゃないか?

 ・・・・・・・・

「はやくしろ、開けろ」
 強くドアをたたかれた。私はおそろしくなって、あわてて鍵を開けた。とたんに大きくドアが開かれて青年が入り込んできた。私が部屋の中央まで後ずさると、青年はマジマジと私を見て表情をけわしくした。窮屈だからと私はスラックスを脱いでいた。ワイシャツにトランクス、そして靴下という格好だった。
「おい、もうつきまとうなって言ったろ。ここも引き払えって」
 青年が私の胸を突いた。
「あ、だから」
「どういうつもりだよ? あいつが警察沙汰にはしたくないって言うから我慢してやってんだぞ」
「わ、私がこのアパートを借りていることは、別に違法じゃない」
 どうしてそんなことを言ってしまったのか。
「なんだと?」
 頬をはたかれた。私はショックと恐怖で身をすくませた。突き飛ばされ、畳の上に転がると、青年は私の胸の上に馬乗りになって、何度も手をあげた。私はようやく手で自分の顔をかばった。痛かったし、悔しかった。青年がどこか焦ったような顔をして手を振り上げるものだから、私はよけいにこわくて逆らえなかった。
「やめてくれ、もう」
「痛い目にあうのが好きなのかよ?」
「あ?」
「どうせならあいつに叩かれたいとでも考えてんだろ?」
「私はただ」
「あいつになら何されてもいいって考えてんだろ? この変態オヤジが」
 思わず想像してしまったのだ。彼にこんな風に馬乗りに踏まれて叩かれたら……。
 一瞬で私は勃起した。
「見せてみろ」
 青年の言う意味がわからなかった。青年は私の首からネクタイを抜き取り、立ち上がった。やっとゆるしてくれるのか、そう思った時、腕をねじりあげられ、後ろ手に縛られた。
「や、やめてくれ、どうして……」
 トランクスを引っ張られ、膝まで下ろされていた。体が横向きになっていたから、勃ったところが見えてしまう。私はあわててうつぶせになった。青年の足が私の腰を蹴り、強引に仰向けにされる。そこにフラッシュが光った。青年が携帯をかまえていた。
「これであんたが変態教師だって証拠ができた」

   ★★★★★



 妻子に逃げられた冴えない中年教師。
 教え子に恋をしてストーカーとなり、覗き見用にアパートまで借りてしまう。
 直接なにかするつもりはなかった。しかし教え子の叔父だという青年があらわれて脅されてしまう……。

 ゲイ官能小説。

 中年マゾの独白モノ。


 他電子書籍サイトにて書き下ろしとして発表した『全裸先生』(武藤三郎名義、だったと思います)を改題しました。
 (そのサイトはすでに閉鎖されています。名義も違っていたかも。書類なども処分済みのため確認とれませんでした)







なんでいちいち、全裸の、に変えたのかというと、
同じタイトルのゲームがあるみたいなんですよね。

ゲームと小説じゃちがうものだけど、誤解があるとよくないと思ったので。
(ゲームの関係者のみなさま、申し訳ございません)

まあ、の、をつけただけですが……。

紛らわしくてすいません。





で、なんとなくなんですが、
今回はアマゾン独占扱いにしたので、
読み放題サービスにも自動的に登録されています。

普通に買うまでの興味のない方も、
読み放題に入ってらっしゃる場合、よかったらお願いします。







『BRUNO + anima』ですが、
本文内に下書き段階での指示書きなどが残ったままだったことがわかりました。
大変申し訳ございませんでした。

なんでもギリギリでやるのよくないですね……。
ごめんなさい。
同人誌、高いのに、ミスが目につくとがっかりしちゃいますよね。
ほんとすいません。


『酔っ払いの独り言 後編(全三話)』と『BRUNO + anima』デジケット完全版と資料集






アマゾンkindleストアにて配信はじまりました。


『酔っ払いの独り言 後編(全三話)』


   ★★★★★

 帰りは彼の家お付きのロールスロイスが私を送ってくれた。彼は何かを恥じている風の顔で、私を見送った。ロールスロイスは素晴らしい乗り心地で、冷蔵庫やテレビやマッサージ機まで取り付けられていて目を見張ったが、車に乗っている間はずっと、あの家での彼の顔つきやら、なんだかんだいって彼との結婚を待ち望んでいるらしきあのお嬢さんの笑顔が頭の中に浮かんでいた。
 まるで狐につままれたような気分だった。ドッキリなんとかいうテレビ番組で、大がかりな仕掛けに騙されているんじゃないかと思えた。だが、これは本当のことだ。
「……そこの坂の上にカフェが見えるだろう。あそこで止めてくれ」
 お付きの運転手氏に頼んでカフェの前で下ろしてもらった。テラスの一番端の席に腰を落ち着けて息を吐き出し、それから顔を上げ、兄ちゃんにいつものを頼もうと思った。だが珍しく、兄ちゃんの姿が見あたらない。
「おい、注文頼むよ」
 近くにいたここの店主に声をかけた。だが、店主は散らかったテーブルを片づけるのに必死で、うんうんうなずきながらも店の奥に引っ込んでしまった。どうやらあの兄ちゃんは休みらしい。いやしかし、今まで代わりのバイトもなしであの兄ちゃんがサボッたことは一度もなかった。よほどのことがあったのか、やめてしまったのか……。
 他の客は数組しかいなかったが、いつも奥で飲み物を作っているだけの店主では要領を得ないらしい。みな注文したものを待っているのか、私と同じように注文も受けてもらえないのか、苛々した顔で店の奥ばかり見ている。
「とっとこうと思ってたのになあ……」
 しかたなく、上着のポケットを探ってミニチュアボトルを何本か取りだした。ロールスロイスの冷蔵庫から失敬してきたものだ。キャップをひねり開け、じかに口をつけて飲む。一口飲んで目を丸くし、二口飲んで首を振り、三口飲んでうなってしまった。
「うーん、さすが金持ちは違うな」
 いつも飲んでいる安酒とは桁の違う高い酒だ。喉が鳴るほどにうまい。舌を滑るなめらかさに、香しい薫り。……なのになぜだろう、まずく感じるのは。
 近くのテラス席に座っていた親子連れが、険しい顔で私を見ていた。見返すとあわてて目をそらすが、子供はかまわず目を合わす。私の方が気まずくて目をそらした。
 店の中に目をやった。店主ではない、あの兄ちゃんを探したのだ。便所でクソでもしてるんじゃないか。しかし兄ちゃんはいなかった。辞めてしまったに違いない、と直感が告げていた。目は無意識に、北澤女史の姿も探していた。いるわけがない、時間が時間だし、すでに引っ越しをすませてこの町を出ていったかもしれないのだ。こうなっくてるとあのやかましい山田でもいいから顔を見せないか、と期待してしまう。
 そして誰もいなくなった、とはこのことか。
 日が沈もうとしていた。空にはパレットをひっくり返したようにきれいなグラデーションがのびていき、坂の下に広がる町はオレンジ色の靄に沈む。私はその美しい風景を見下ろしながら独り、酒を飲む。まずい酒だ、と思いながらもやめられない。残りのボトルキャップをすべてひねり開け、全部ここで飲んでやろう、と決めた。

   ★★★★★



 得体の知れない売り専男は良家のぼんぼんだった。
 しかも若く美しい婚約者までいて……。

 結婚するな、の一言が言えず、中年作家、竹田は酒を飲むばかり。



 初出『ジーメン』。
 全三話の最終話。
 ゲイ官能小説。



 大人のためのファンタジー的な物語。






これで全三話配信となります。
よかったら上のリンクや横のリンクからお願いします。











野郎フェスでお買い上げくださったみなさま、ありがとうございました。

僕は現場に行かなかったんですが、
考えてみると三作も小説発表してるのにサボリってひどいですね……。
でも引きこもりだから……。

バチが当たったのか、昨日は朝、腸炎っぽい腹痛を起こして、
その後は動けなくなり、彼氏団地にも行かず、
一日グッタリしてました。
真夏日なのに寒くてカーディガン着込んでこたつ入って寝てたという。
あんな風になったの七、八年ぶり。
野郎フェスの神様ごめんなさい。





[Hide&Seek] の【BRUNO+anima Vol.1】


デジケット様で同人誌電子版出てます。
またkindle版も出す予定ですが、そちらは規制もあるので挿絵点数など抑えたものになります。
エンボス先生のエロかっこいい挿絵満載の完全版はデジケット様で。





[Hide&Seek] の【BRUNO+anima 設定資料集1】


こちらは設定資料のイラスト集。
小説はのってませんがエンボス先生のエロかわいいイラスト満載。






野郎フェス











遅くなりましたが告知です。

明日の野郎フェスで二冊新刊が出ます。
場所はD35。
サークル名はHide&Seek。



『犬極道Ⅳ』はアメリカ人のデブ中年シェフが
日本にやってきて男の味を下の口で教えられるお話。
犬極道シリーズとついてますが外伝なので
これだけ読んでもそこそこ大丈夫。

挿絵は龍谷尚樹先生です。




『BRUNO +anima』はケモノの青春学園モノ。
鶏の羞恥プレイ、触手二種、校長先生の交尾など。
そしてなぜかガチャガチャ。

原案はHide&Seekさん。
挿絵はエンボス先生です。


それぞれ過去作も用意されるようです。
よかったらお願いします。






また、以前にもお知らせしたかと思いますが、
『漢祭』2号にも僕の小説がのってます。
悪友同士のおじさん二人組が若くてムキムキの青年をめぐって
いろんなこと思ったりしながら三人で南の島を旅行します。
挿絵は岩田巌先生です。

こちらはE19-20でお買い求めいただけます。





明日は暑いようなので涼しい格好でどうぞ。





『酔っ払いの独り言 中編(全三話)』と『俺の教育実習 小玉オサム作品集⑥』





アマゾンkindleストアにて配信はじまりました。


『酔っ払いの独り言 中編(全三話)』



   ★ ★ ★

 出会って二週間がたった頃、夕方になってベルが鳴った。玄関を開けると、スーツ姿の若い男が立っていた。いつものラフなイメージとはかけ離れていて、私はうろたえてしまった。孫にも衣装というか、実に似合っているのだ。
「おっ……、よくきたな、どうしたそんな格好で」
「今日はジムに行く気がしなかったんだ」
「とにかく入れ」
 一見して、おそろしく高級なスーツだとわかった。商社マンとはいえ、入社してせいぜい一、二年の下っ端が着られるものじゃない。入社祝いでもらったとっておきを見せようと選んできたのか。そんなところだろう。しかしこの汚い部屋の中では、いつ汚しちまうかわかったものじゃない。
「おいお前、なにか着替えは持ってないのか」
「なんで?」
「その格好じゃくつろげんだろ、そうだ、少し荷物持ってこい、不便だろ、着替えもなしでここにくるのは」
「今からかよ?」
「今度ってことだ。うーん、今日のとこは俺の着とくか」
「でもおじさんのじゃデカすぎるよ」
「着てみなきゃわからんだろうが。お前だって背はあるんだから……」
 私はとっておきのワードローブを披露してやった。と言っても、実のところ、なんのことはない、今の私にはもう小さくて着られなくなったズボンやシャツだ。その中からこいつに似合いそうなのを見繕って放ってやった。彼はなんの照れも見せずに私の目の前で裸になり、見事な肉体を見せつけながら私の服を着た。着ている最中から、顔を見合わせてゲラゲラ笑いだしてしまった。まるで子供が親の寝間着を羽織ったようにブカブカなのだ。
 私は頭をかいた。
「ダメだなこりゃ」
「いいよ、オレはこれで。ひとに見られるわけじゃないし」
「ま、それもそうか」
「でも、いいのかよ、ほんとに」
「なにがだ?」
「オレの荷物なんか持ち込んで」
「まあ、男二人で住むには狭いがな、多少不便になる程度だろ」
「そうじゃなくてさ……、迷惑じゃないのかよ、オレなんかと」
 彼はうつむいて、上目遣いにちらちらと私を見た。その目は驚くほど素直に「不安」をあらわにしていた。いつもの生意気な口振りや傲岸な態度とは裏腹に、私に嫌われるんじゃないかと怯えているのか。いろいろとつっぱって生きてるんじゃないかとは思っていた。だが、それどころの話ではないのかもしれない。こいつは、自分が取るに足りない人間だと感じているのかもしれない。こいつは、自分には愛される価値がないと感じているのかもしれない。いや、こいつは、ではなく、こいつも、だ……。
 胸が痛かった。私はダボダボのシャツをまとった彼を抱いてやった。今までで一番素直に抱かれてくれた。

   ★ ★ ★


 未完成原稿とともに若い売り専男が戻ってきた。
 話を聞くと、夜は売り専をやりながら、昼は有名な商社で働いているのだという。
 作家の竹田はこの得体の知れない若い男と付き合うようになるが……。


 初出『ジーメン』
  
 全三話のうちの第二話。

 ゲイ官能小説。








[小玉オサム文庫] の【俺の教育実習】


デジケット様にて配信はじまりました。


『俺の教育実習 小玉オサム作品集⑥』

★ ★ ★

「次はいつ会えるんだ?」
先輩はうつむいて、今度は自分のち○ぽとケツの始末をつけながら言った。
「実習おわるまで、ずっと会えないのかよ?」
俺は先輩のことを見ていた。毎度のことながら、ケツをふく仕草がユーモラスで、いやらしい。俺はニヤニヤしながら言った。
「二週間、おあずけッスね」
「本気か、それ?」
先輩はしょぼくれた顔をして、俺に抱きついてきた。百八十の巨体だから、百七十五×七十八の俺をすっぽり抱きすくめてしまう。
「二週間なんて、さびしいぞ。なあ、夜はあいてるんだろ?」
「ダメですよ、朝早いし、放課後もクラブ活動見させてもらうって決めてるんですから。先輩のこと犯ってたら体がもちませんよ」
「べつに毎晩犯ってくれってわけじゃないんだぞ。会うだけだって、おれ、うれしいし」
「でも会えばそういうことになるでしょ? 俺だって、先輩と会ったら、たまんなくなるだろうし」
「ヤスヒロ……」

★ ★ ★


体育大学のサッカー部に所属する主人公が教育実習のため学校に戻る。担当体育教師はガチムチの中年男で、柔道部の顧問をしている。柔道部員の森田はちょっと不良っぽくて主人公に反則技をかけてくるが、実は隠された想いがあって……。

初出『バディ』。たしかこの小説が『バディ』でのデビュー作だったと思います。原稿用紙換算で79枚の中編。




『不倫同士』

★ ★ ★

「んっ……、う」
キスしてきながら、寛太は俺のケツを撫で回し、谷間に指をすべらせてくる。そのごつい指先で肛門を探られると、俺は反射的に体を震わせてしまう。それを面白がっているのか、寛太はいつもことに及ぶ前、しつこく俺の肛門を指先でこすりあげてくる。
昔からこういう関係が多かった。年下の男に好かれる。年上の男と付き合ったのは一度きりだ。どちらにせよ、たいていは自分が抱かれる側になってしまう。吉尾さんだけははじめからなにかが違ったのだ。あの人は俺と同年代で、俺より体のでかい男なのに、自然と俺がリードする形になった。まだ車やトイレでしか関係を持ったことがないから、吉尾さんが後ろまで犯らせるのかよくわからない。しかしあの大男を自分が貫いたらどんな感じになるのか、と考えると興奮してくる。
「ひっ、あっ、……ゆっくりしてくれ」
寛太が俺のスウェットを下ろし、ローションのつけた指を股の間に差し入れていた。俺は壁に手をつき、いくぶんがに股の格好になって、顔を熱くしていた。すぐ横に寛太が立って、俺の腰の辺りにかたくなったところを押しつける。俺はせつない気持ちでそれをわしづかみにする。
今、寛太にされているようなことを、そのままあの男にしてやりたい。
罪深いことばかり頭に浮かんでいた。吉尾さんの後ろに指を入れて、震えるところをじっくりと見てやりたいと想像していた。寛太の指にいたぶられている最中だというのに、吉尾さんのことを考えて興奮していた。

★ ★ ★

長く続いた男同士のカップルが二組。
それぞれ犬を飼い、幸せに暮らしていて、「家族ぐるみの付き合い」を続けている。
なんの不満もない。なのに後の二人に秘密の不倫関係を持っている。
その罪深さから、男たちの性は燃え上がって……。

25周年記念作品。




『しこり』

バツイチの中年男が二丁目のコンビニで若い男と出会い、付き合いはじめる。
二人の関係は順調に進んでいくが、中年男は口内炎に悩んでいる。若い男との交際がうまくいくほどに、それは大きくなり、しこりとなって主人公を悩ませる。
別れた妻と妻に引き取られた息子とは穏やかな関係を続けているし、出会ったばかりの若い彼とのデートは愉しい。案外、うまくいっている人生と思っていたが、口の中のデキモノはどんどん大きくなってきて……。

初出『サムソン』。
映画で言えば大画面でど迫力とか濃厚な大河ドラマ的なものではなく、単館上映作品って雰囲気です。静かで穏やかな読み切り中年クライシス小説。



三作すべてkindleで前から配信しているものと同内容です。










ひとによるんでしょうけど、僕の場合は頑張るとダメですね。
いつもより頑張って原稿書きすると、その後が使い物にならなくなる。
短い時間にさっと集中して、すぐにやめた方が効率的。
そもそも結果は頑張ったかどうかじゃ決まらないし。
頑張れば必ず結果に結びつく、なんてこと、普通ないもんね。
むしろ、すごく頑張らないと書けない内容って、
向いてないってことのように思える。
そして当然ながら、頑張る頑張らない、内容に満足不満足、
ってことと、読まれるかどうかはまったく別の話だし……。

と、なぜこんなこと言い出したのかというと、
さっきツイッター見てたら、
年収500万と2000万ではここが違う!
みたいな記事が紹介されてたんですよ。

なんか意識の差というか、
たとえばセミナーに参加する頻度とか、
勉強する時間とか、
500万の人と2000万の人ではこんな風にちがう、
と数字で説明されているの。

中身を見ない段階で、
そもそも500万ってすでに成功してるひとじゃないの?
と思ったんだけど、
やはり500万の人もセミナーに参加したり勉強したりしてるのね……。

世の中のひとたちって、みんな勉強したりセミナー受けたりしてるんですかね?
ちょっと信じられないんだけど。
マジで?

生涯勉強、なんて言って実践してるひとってすげえな~、
と素直に思うけど、
みんなそうなの?
そんなわけないよね。

まあ、もしみんなそうだとしても、僕は無理だなあ。
学校出た後は勉強もなにもしたことないような……。

何事も頑張るの苦手。
なんでもほどほどにしたい。
だって頑張るために生きてるわけじゃないし……。
じゃあなんのために生きてるんだと聞かれたら、
なんとなく生きてるだけです
としかこたえられないけど。
なんかごめんなさい……。

でもね、何事も目一杯努力しなくちゃいけない、とか
ギリギリまで頑張るべき、とか
そういうこと言うひとに言いたいんだけど、

みんながみんなあなたみたいにすんごく努力しはじめたら、
あなたは今いる場所から追い落とされることになるはずなんだけど、
それでいいの?

だってあなたのすぐ下あたりにそこまで頑張ってないひといるでしょ?
そのひとたちがすんごく努力しはじめたら、あなたみたいにギリギリ頑張って
やっとそこまで上がったひとなんか蹴落とされちゃうよ?
あんまり頑張らないひとたちのおかげで今のあなたは今の場所にたどり着けたのだ。
感謝すべきなのではないか……。
(なにが言いたかったのかもうわからなくなった)





Appendix

プロフィール

osamukodama

Author:osamukodama
小玉オサム
今は亡き『さぶ』でデビューしてなんと26年目! ゲイ雑誌各誌に小説をのせてもらって四半世紀経ったということ。いつのまにか休刊した雑誌の方がずっと多くなってしまい……。時代……。この間、鏡を見たら耳から盛大に耳毛が飛び出していた! 時代……。

旧ブログ http://kodamaosamu.blog48.fc2.com/
リンク欄にリンク張ってあります。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR